1―036 在宅療養を希望した多部位に痛みをもつ癌患者の治療経験

【症例】患者は53才の女性で, 3年前に直腸S状結腸癌に対し腫瘍切除人工肛門造設術をうけ, その2年後に骨盤内再発肺転移肋骨転移が判明し, 放射線照射やモルヒネの内服治療が開始されたが, 耐え難い右胸背部痛と左下後面部痛のため当科を受診した. 身体及び画像所見から, 胸部痛は肋骨転移と癌性胸膜炎による痛み, 下肢痛は腫瘍による坐骨神経領域の神経因性疼痛と考えられた. 患者は疼痛さえ緩和すれば在宅静養を希望していたので我々は次のように計画した. まず胸部痛に対し, くも膜下フェノールブロックを行い完全除痛を得た. しかし硬膜穿刺によると思われる頭痛めまい嘔気が出現したため自己血パッチ治療を行った...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2004, Vol.11 (3), p.280-280
Hauptverfasser: 松本茂美, 浅野斗志男, 鷲見和行, 飯田宏樹, 竹中元康, 大島 勉, 土肥修司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【症例】患者は53才の女性で, 3年前に直腸S状結腸癌に対し腫瘍切除人工肛門造設術をうけ, その2年後に骨盤内再発肺転移肋骨転移が判明し, 放射線照射やモルヒネの内服治療が開始されたが, 耐え難い右胸背部痛と左下後面部痛のため当科を受診した. 身体及び画像所見から, 胸部痛は肋骨転移と癌性胸膜炎による痛み, 下肢痛は腫瘍による坐骨神経領域の神経因性疼痛と考えられた. 患者は疼痛さえ緩和すれば在宅静養を希望していたので我々は次のように計画した. まず胸部痛に対し, くも膜下フェノールブロックを行い完全除痛を得た. しかし硬膜穿刺によると思われる頭痛めまい嘔気が出現したため自己血パッチ治療を行った. 下肢痛はNSAIDsやlidocaine点滴が奏効したので, 種々の鎮痛補助薬も加えた内服治療を重点的に行い, 短期間であったが外泊可能となった. しかしその後, 肺転移が進み呼吸困難などが増強したためモルヒネ持続静注投与を開始し, 5ヶ月後に永眠された. 【結語】癌性疼痛が広範囲で複雑な症状を呈しても, 多面的な治療法を模索することにより自宅療養が可能であると思われた.
ISSN:1340-4903