2-A-42 長期に持続した下顎部神経因性疼痛に対して漢方薬と超音波療法が奏効した1症例

【症例】31歳, 女性. 主訴は右側下顎部の疼痛. 7年前に右側下顎第二大臼歯に疼痛を生じ, 歯科で抜髄を受けたが疼痛は変わらず, 当科を受診した. 根尖性歯周炎の診断で根管治療と薬物治療, さらに抜歯を受けた. しかし刺すような疼痛が持続するようになり, 他の歯の抜歯, ペインクリニックで星状神経節ブロック, また精神科で薬物治療(アミトリプチリン+ジアゼパム)を受けたが無効であった. 有効な治療法がないまま, 治療は中断となった. 平成14年9月に治療を希望して再来した. 右側下顎臼歯部相当部の頬側付近に不快な鈍痛を訴え, 疼痛のためQOLが著しく低下していた. 同部の粘膜は正常であったが...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2003, Vol.10 (3), p.392-392
Hauptverfasser: 千葉雅俊, 森川秀広, 福井功政, 越後成志
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【症例】31歳, 女性. 主訴は右側下顎部の疼痛. 7年前に右側下顎第二大臼歯に疼痛を生じ, 歯科で抜髄を受けたが疼痛は変わらず, 当科を受診した. 根尖性歯周炎の診断で根管治療と薬物治療, さらに抜歯を受けた. しかし刺すような疼痛が持続するようになり, 他の歯の抜歯, ペインクリニックで星状神経節ブロック, また精神科で薬物治療(アミトリプチリン+ジアゼパム)を受けたが無効であった. 有効な治療法がないまま, 治療は中断となった. 平成14年9月に治療を希望して再来した. 右側下顎臼歯部相当部の頬側付近に不快な鈍痛を訴え, 疼痛のためQOLが著しく低下していた. 同部の粘膜は正常であったが, アロディニアや知覚異常, 圧痛を認めた. 顎運動と疼痛に関連はなく, 咀嚼筋にトリガーポイントを認めなかった. X線検査で下顎骨に異常はなく, 頭蓋顔面領域のMRIで明かな器質的病変は認めなかった. 以上から右側下顎部の神経因性疼痛と診断した. 漢方医学的に虚証で冷えが疼痛に関与していると考え, 桂枝加朮附湯の内服と立効散の含嗽を指示し, 右側咬筋付近に超音波治療を行った. 現在, 疼痛は治療前の2~3割程度となり, QOLは著明に改善している.
ISSN:1340-4903