1-B-148 疼痛制御機構に関する研究(第16報)~脊髄内protein kinase Cの活性化によるmorphine依存の不形成

【背景】近年, 神経因性疼痛の形成にprotein kinase C(PKC)の関与が認められているが, 我々も脊髄のPKCの持続的な活性化が神経因性疼痛発現に重要な役割を果たしていることを確認している. 一方, 幅広い臨床経験から疼痛下においてはmorphine(MRP)の精神依存が形成されないことが明らかとなっており, 我々も神経因性疼痛下ではMRPに対する報酬効果が形成されないことを基礎レベルで明らかにしている. 【目的】そこで本研究では, PKC活性薬であるphorbol-12, 13-dibutyrate(PDBu)をマウスの髄腔内に投与し, MRPの報酬効果に及ぼす影響を検討した....

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2003, Vol.10 (3), p.378-378
Hauptverfasser: 大江公晴, 成田 年, 矢島義識, 久保田千晴, 芝崎真裕, 山崎光章, 鈴木 勉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【背景】近年, 神経因性疼痛の形成にprotein kinase C(PKC)の関与が認められているが, 我々も脊髄のPKCの持続的な活性化が神経因性疼痛発現に重要な役割を果たしていることを確認している. 一方, 幅広い臨床経験から疼痛下においてはmorphine(MRP)の精神依存が形成されないことが明らかとなっており, 我々も神経因性疼痛下ではMRPに対する報酬効果が形成されないことを基礎レベルで明らかにしている. 【目的】そこで本研究では, PKC活性薬であるphorbol-12, 13-dibutyrate(PDBu)をマウスの髄腔内に投与し, MRPの報酬効果に及ぼす影響を検討した. 【結果】PDBuを髄腔内に投与すると, 投与後1時間以上にわたる明らかな疼痛様行動を示し, 投与5日後においても有意な熱痛覚過敏反応が観察された. このような条件下でMRP誘発報酬効果について検討したところ, 神経因性疼痛下と同様にMRPの報酬効果は著明に抑制された. 【考察】これらのことから, 脊髄におけるPKCの活性化を介した上位中枢への痛覚情報伝達が, 上位中枢の可塑的変化を引き起こし, MRPの報酬効果を抑制した可能性が示唆された.
ISSN:1340-4903