α リハビリテーション
ペインクリニック診療の発展には, 痛み治療に携わる他診療科の専門的知識の理解と技術習得が必須である. 当セクションでは, 運動器疾患の治療を通じて関りが深いリハビリテーション分野を取り上げた. パネラーに, リハビリテーション, 整形外科, ペインクリニック各部門から, 研究, 臨床現場, 予防医療の第一線で活躍されている先生方をお招きして, 以下の項目を題材にご講演頂く予定である. 広範囲であるが, ペインクリニック医学体系化のための議論としたい. 1)ペインクリニック(以下, ペイン)とリハビリテーション(以下, リハ)の相互関係の整理:痛みの治療に理学療法は重要であるが, 普遍的な処方は...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 2003-06, Vol.10 (3), p.273-273 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | ペインクリニック診療の発展には, 痛み治療に携わる他診療科の専門的知識の理解と技術習得が必須である. 当セクションでは, 運動器疾患の治療を通じて関りが深いリハビリテーション分野を取り上げた. パネラーに, リハビリテーション, 整形外科, ペインクリニック各部門から, 研究, 臨床現場, 予防医療の第一線で活躍されている先生方をお招きして, 以下の項目を題材にご講演頂く予定である. 広範囲であるが, ペインクリニック医学体系化のための議論としたい. 1)ペインクリニック(以下, ペイン)とリハビリテーション(以下, リハ)の相互関係の整理:痛みの治療に理学療法は重要であるが, 普遍的な処方は確立していない. リハ診療では, 痛みは運動の阻害因子となり, 円滑な機能訓練を進めるために痛み対策が必要となる. ペインとリハ診療の, 痛みを通した関係について整理する. 2)痛みと障害:痛みは機能障害を起こし, ADL障害をもたらす. 治療対象が痛みであるペイン診療では, 神経ブロック手技の開発と適応に視点が注がれてきた. 一方, 障害を命題とするリハ医療では, 機能障害から能力障害および社会的不利に到る, 障害の三層構造への対策が体系化されている. リハ医学の障害への取り組みから学ぶところは多い. WHOの新国際障害分類改訂版(ICF)にも言及し, 概念の変遷を知る. 3)治療効果判定基準, 評価法の検討:ペインでは, 疼痛評価にVASが多用されるが主観的である. リハでは, 各障害レベルに応じて多数の評価法が提唱され, これらの評価法はより客観的であり, 施設間の共通言語として利用されている. また, 評価結果が, 帰結予測に用いられる場合がある. パラダイムの変遷とQOLを考慮した, 客観的な痛みの治療効果判定法を検討する. 4)ペイン診療のエビデンス:神経ブロック施行と非施行例の治療結果の比較検討. RCT研究レベルでの検討の現実性および意義について意見交換を行う. 5)急性疼痛(疾患)に対する理学療法を含めた診療マニュアル:従来のペイン治療チャートに, 機能評価や予測される治療期間を提示したクリニカルパスの作成について議論する. 各療法の種類や回数の組み合わせについて, 治療効率から最適な治療指針を検討する. 6)慢性疼痛(疾患)に対するリハ医療との連携:慢性疼痛治療につき, 一般リハ療法から, 認知行動療法, 患者教育, 早期治療, 慢性化予防等の話題を含めて, 最新の情報を集める. 7)ペインの知覚系とリハの運動系両面からの研究の接点:ペインにおける慢性疼痛機序解明や先行鎮痛の研究, リハにおける中枢神経損傷の可塑性に関するCI療法等, 先端研究の接点を探る. 8)両療法の技術発展と治療限界:安全性, 妥当性, 普遍性, 経済性, インフォームドコンセント等からみた, 両療法の将来性と守備範囲を検討する. 9)医療, 福祉, 保健行政との提携と参画:リハ医療は, 障害者対策, 福祉施策, 医療, 介護保険制度をはじめ, 行政機構に幅広い活動実績をもち, 社会に貢献してきた. ペイン医療が, 痛みを扱う専門科であると同時に, 社会, 環境, 産業, 生活等の範囲へと活動域を広げて, 一層の国民的コンセンサスを得る診療科となるための課題につき, リハからの提言を交えて討議する. |
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ISSN: | 1340-4903 |