腸腰筋内血腫から難治性下肢痛を生じた1例

腸腰筋内血腫から一側下肢の慢性疼痛をきたした症例を経験した. 症例は, 55歳, 男性で, 僧帽弁置換手術後の心停止に対し右大腿動静脈よりPCPSを挿入し救命された. 意識回復後から左下肢の麻痺と激痛を生じ, CTで左腸腰筋内血腫を認めた. 血行動態が不安定であったことと, 人工弁に対する抗凝固療法が必要であったため, 血腫除去術は行われなかった. 疼痛に対し鎮痛薬投与と神経破壊薬を用いた腰部交感神経節ブロックを行ったが十分な鎮痛は得られなかった. 約2ヵ月後に血腫は消退したが麻痺と強い疼痛は残存した. 発症から1年半後の現在, 1日450mgの硫酸モルヒネ(MSコンチン(R))の経口投与で疼...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2003-04, Vol.10 (2), p.156-160
Hauptverfasser: 清水斎, 大林俊彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:腸腰筋内血腫から一側下肢の慢性疼痛をきたした症例を経験した. 症例は, 55歳, 男性で, 僧帽弁置換手術後の心停止に対し右大腿動静脈よりPCPSを挿入し救命された. 意識回復後から左下肢の麻痺と激痛を生じ, CTで左腸腰筋内血腫を認めた. 血行動態が不安定であったことと, 人工弁に対する抗凝固療法が必要であったため, 血腫除去術は行われなかった. 疼痛に対し鎮痛薬投与と神経破壊薬を用いた腰部交感神経節ブロックを行ったが十分な鎮痛は得られなかった. 約2ヵ月後に血腫は消退したが麻痺と強い疼痛は残存した. 発症から1年半後の現在, 1日450mgの硫酸モルヒネ(MSコンチン(R))の経口投与で疼痛管理を行っている. 腸腰筋内血腫では, 出血傾向が基礎にある場合が多く, 疼痛管理に神経ブロックを用いにくいという難点がある. 鎮痛薬投与等の保存的治療でコントロール困難な疼痛が持続する場合, 血腫除去手術の適応を考慮する必要がある.
ISSN:1340-4903
DOI:10.11321/jjspc1994.10.2_156