2―96高齢者の慢性疼痛にトラマドールを長期投与して著効を示した1症例

トラマドールは, WHO癌性疼痛治療ラダーの第2段階の薬としてや, 術後鎮痛に欧米で広く使われている非麻薬系オピオイド性鎮痛薬である. μ作動性とともに, セロトニン, ノルアドレナリン再取り込み阻害薬としての性質もある. 1978年に日本に注射薬が導入されたが, 現在はほとんど使用されていない. オピオイド性鎮痛薬としては, 呼吸, 循環抑制をほとんど起こさない, 嗜癖性がほとんど無い, などユニークな特色があり, 世界的に麻薬としては分類されていない. 当科では院内調剤した経口製剤を急性疼痛の治療に用いてきた. 【症例】94歳女性. 3年前からの腰痛で当科受診中に腰椎圧迫骨折受傷. 受傷後...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2002, Vol.9 (3), p.298-298
Hauptverfasser: 北原雅樹, 山内圭子, 栗山陽子, 大村昭人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:トラマドールは, WHO癌性疼痛治療ラダーの第2段階の薬としてや, 術後鎮痛に欧米で広く使われている非麻薬系オピオイド性鎮痛薬である. μ作動性とともに, セロトニン, ノルアドレナリン再取り込み阻害薬としての性質もある. 1978年に日本に注射薬が導入されたが, 現在はほとんど使用されていない. オピオイド性鎮痛薬としては, 呼吸, 循環抑制をほとんど起こさない, 嗜癖性がほとんど無い, などユニークな特色があり, 世界的に麻薬としては分類されていない. 当科では院内調剤した経口製剤を急性疼痛の治療に用いてきた. 【症例】94歳女性. 3年前からの腰痛で当科受診中に腰椎圧迫骨折受傷. 受傷後, 神経ブロック, 経口NSAIDs投与, リハビリテーション等を併用し治療したが効果は限定的であった. トラマドール静注の試験投与で痛みがほぼ消失したため, 経口投与を開始. 開始直後一過性の嘔気, ふらつきを経験した後は特に著明な副作用は現れなかった. 受傷8ヵ月後にはほぼ受傷以前のADLに戻り, 現在トラマドールを漸減中である. 【結論】高齢者の慢性疼痛にトラマドールを長期投与し, 副作用無く著効をおさめた. 経口製剤の早期の販売開始が強く期待される.
ISSN:1340-4903