2―70学生実習中に発生した橈骨神経障害の一例

【はじめに】われわれの施設では学生同士で互いに静脈路を確保する実習がある. この実習中に橈骨神経知覚枝の障害によるCRPSを発症し, その治療としてケタミンと星状神経節ブロックが奏効した症例を報告する. 【経過】実習中に学生A君は学生B君の左橈側皮静脈の血管に留置針を挿入した. この間, 放散痛などの異常感覚は認められなかった. 抜針時にB君は留置針の刺入部付近から左第一指先端まで放散する激しい痛みと痺れを訴えた. 次第に症状は悪化し, 刺入部付近から左第一指先端までのallodyniaも認められるようになった. その後, ケタミンを合計15mg静注したところ, 持続的な自発痛は消失した. 翌...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2002, Vol.9 (3), p.290-290
Hauptverfasser: 藤野能久, 福井弥己郎, 野坂修一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】われわれの施設では学生同士で互いに静脈路を確保する実習がある. この実習中に橈骨神経知覚枝の障害によるCRPSを発症し, その治療としてケタミンと星状神経節ブロックが奏効した症例を報告する. 【経過】実習中に学生A君は学生B君の左橈側皮静脈の血管に留置針を挿入した. この間, 放散痛などの異常感覚は認められなかった. 抜針時にB君は留置針の刺入部付近から左第一指先端まで放散する激しい痛みと痺れを訴えた. 次第に症状は悪化し, 刺入部付近から左第一指先端までのallodyniaも認められるようになった. その後, ケタミンを合計15mg静注したところ, 持続的な自発痛は消失した. 翌日, 星状神経節ブロックを施行したところ, allodyniaも消失し, 感覚鈍麻の状態となった. 1週間後にはこれらの症状は消失し, 以後再発はない. 【考察】橈骨神経知覚枝は橈側皮静脈と伴走するため橈側皮静脈の静脈路確保には神経損傷によるCRPSの発症に注意を要すると考えられる. 【結論】橈側皮静脈の静脈路確保の際に生じたCRPSに対し, ケタミンとSGBが奏効した.
ISSN:1340-4903