1―125診断に苦慮したグロームス腫瘍の1例
今回, 10年にわたる慢性疼痛の原因がグロームス腫瘍によるものと判明し, 腫瘍摘出により完全に除痛された症例を経験した. 【症例】36歳, 女性. 10年前より左第3指に疼痛を自覚し, 4年前より, 寒冷曝露によって疼痛が増強するようになった. 様々な医療機関を転々とするが, 心因的疼痛とされ, その後も疼痛が増悪するため, 当科を受診した. 患部外観は異常なく, 激しい疼痛を左第3指の指先の爪床部および尺側面にのみ認めた. MRI等各種検査では異常は認めなかった. 原因不明ながらも疼痛緩和のため各種ブロックを施行するも完全な除痛は得られなかった. そこで手指MR血管造影を施行したところ, 左...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 2002, Vol.9 (3), p.260-260 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今回, 10年にわたる慢性疼痛の原因がグロームス腫瘍によるものと判明し, 腫瘍摘出により完全に除痛された症例を経験した. 【症例】36歳, 女性. 10年前より左第3指に疼痛を自覚し, 4年前より, 寒冷曝露によって疼痛が増強するようになった. 様々な医療機関を転々とするが, 心因的疼痛とされ, その後も疼痛が増悪するため, 当科を受診した. 患部外観は異常なく, 激しい疼痛を左第3指の指先の爪床部および尺側面にのみ認めた. MRI等各種検査では異常は認めなかった. 原因不明ながらも疼痛緩和のため各種ブロックを施行するも完全な除痛は得られなかった. そこで手指MR血管造影を施行したところ, 左第3指のグロームス腫瘍と判明し腫瘍摘出にて疼痛は完全に消失した. 【考察】グロームス腫瘍は, 文献的に発症から診断までの期間が平均10年とされており, ほとんどの医師に馴染みのない疾患であることが推測される. グロームス腫瘍は稀な過誤腫であるが, 激しい疼痛を主訴とする疾患であり, 本症例の様にペインクリニック領域にも絡んでくる疾患である. 疼痛の長期化を防ぐためには, 少しでも本疾患を念頭において手, 特に指の痛みの診察をすべきである. |
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ISSN: | 1340-4903 |