1―113虫垂切除術後に右大腿神経麻痺をきたした一例
【症例】41歳, 女性(身長162cm, 体重55kg, 肥満度1.4%)で急性虫垂炎の診断のため虫垂切除術が予定された. 【麻酔経過】麻酔は脊髄くも膜下麻酔を選択し, 腰椎3/4間より0.5%高比重ブピバカインを3ml注入した. 穿刺の際に放散痛や出血などは認めなかった. 術前にT8以下の感覚消失を確認した. 手術開始後2時間15分に手術時間延長のため全身麻酔に移行した. 術中の循環動態は安定し, 体位は仰臥位であった. 術後第1病日より右大腿四頭筋, 右大腿屈筋の筋力低下, 右大腿から下腿前面にかけての感覚低下と感覚異常を認めた. 腰椎MRI検査で血腫, 神経損傷などの異常所見は認めず,...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 2002, Vol.9 (3), p.256-256 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【症例】41歳, 女性(身長162cm, 体重55kg, 肥満度1.4%)で急性虫垂炎の診断のため虫垂切除術が予定された. 【麻酔経過】麻酔は脊髄くも膜下麻酔を選択し, 腰椎3/4間より0.5%高比重ブピバカインを3ml注入した. 穿刺の際に放散痛や出血などは認めなかった. 術前にT8以下の感覚消失を確認した. 手術開始後2時間15分に手術時間延長のため全身麻酔に移行した. 術中の循環動態は安定し, 体位は仰臥位であった. 術後第1病日より右大腿四頭筋, 右大腿屈筋の筋力低下, 右大腿から下腿前面にかけての感覚低下と感覚異常を認めた. 腰椎MRI検査で血腫, 神経損傷などの異常所見は認めず, 筋電図所見で右大腿神経障害を認めた. 臨床所見, 神経学的検査, 手術所見, MRI検査, 筋電図から大腿神経麻痺と診断し, 薬物投与, リハビリテーション, 硬膜外ブロックよる治療を開始した. 術後12日目に筋力低下は回復し, 感覚低下と感覚異常は術後44日目にほぼ消失した. 【考察】大腿神経麻痺の原因は, 術中の鈎による大腿神経の間接的圧迫損傷と考えられた. このような術後神経障害に対処するには, 脊椎麻酔による神経合併症との鑑別が重要である. |
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ISSN: | 1340-4903 |