1―91慢性疼痛に対してのモルヒネの有用性

本邦では癌性疼痛に対してのみモルヒネの使用が認められているが難治性慢性疼痛に使用した場合でもADLが高まりQOL得る症例を経験する. クローン病は20才前後で発症する経過の長い炎症性腸疾患で繰り返す手術や腹痛で痛みは慢性化し痛みの評価, 治療が難しい疾患である. 今回, クローン病でソセゴン, レペタン依存症の患者にモルヒネを使用し, 生活様式, 食事指導, 痛みについての理解を促した結果, 病気と共存し社会復帰したので報告する. 患者は36才男性, 17才でクローン病と診断されこれまでに6回の小腸十二指腸狭窄切除吻合術を繰り返した. 20才頃から腹痛に対し1日にペンタゾシン15mgを3, 4...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2002, Vol.9 (3), p.249-249
Hauptverfasser: 瀧川千鶴子, 安部達也, 細川正夫, 小村好弘, 加藤 学
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本邦では癌性疼痛に対してのみモルヒネの使用が認められているが難治性慢性疼痛に使用した場合でもADLが高まりQOL得る症例を経験する. クローン病は20才前後で発症する経過の長い炎症性腸疾患で繰り返す手術や腹痛で痛みは慢性化し痛みの評価, 治療が難しい疾患である. 今回, クローン病でソセゴン, レペタン依存症の患者にモルヒネを使用し, 生活様式, 食事指導, 痛みについての理解を促した結果, 病気と共存し社会復帰したので報告する. 患者は36才男性, 17才でクローン病と診断されこれまでに6回の小腸十二指腸狭窄切除吻合術を繰り返した. 20才頃から腹痛に対し1日にペンタゾシン15mgを3, 4回使用, ブプレノルフィン座剤を1.6mg使用したが, 効果満足度は低かった. 今回小腸狭窄部切除吻合術後より術後痛に加えこれまでの腹痛も改善されないため外科から疼痛管理の依頼があった. モルヒネの材型が豊富なことと副作用が理解しやすいことからモルヒネの使用を開始した. 現在モルヒネ坐剤30mgで社会復帰している. モルヒネは癌性疼痛のみならず, 長期生存が考えられるからこそQOLを得る目的で慢性疼痛への使用も検討されるべきではないかと考えられた.
ISSN:1340-4903