慢性痛の臨床評価 慢性疼痛に対するドラッグチャレンジテスト
慢性疼痛の疼痛治療を開始する大切なポイントの1つは疼痛機序を推定することである. ドラッグチャレンジテストは, フェントラミン, チアミラール, リドカイン, ケタミン, モルヒネなどの鎮痛機序が明らかにされている薬物を用いて, 神経因性疼痛などの難治性疼痛疾患の疼痛機序を薬理学的に推定し, 治療法の選択に際し有用な検査法の一つである. 患者に薬物投与開始直前の痛みの強さを, 0から10までの11段階で表したneumerical rating scale(以下NRSと略す)を用いたペインスコアーで10とした場合, 薬物投与後の痛みの強さをペインスコアーで表現してもらうことを説明する. 薬物の投...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 2002, Vol.9 (3), p.146-146 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 慢性疼痛の疼痛治療を開始する大切なポイントの1つは疼痛機序を推定することである. ドラッグチャレンジテストは, フェントラミン, チアミラール, リドカイン, ケタミン, モルヒネなどの鎮痛機序が明らかにされている薬物を用いて, 神経因性疼痛などの難治性疼痛疾患の疼痛機序を薬理学的に推定し, 治療法の選択に際し有用な検査法の一つである. 患者に薬物投与開始直前の痛みの強さを, 0から10までの11段階で表したneumerical rating scale(以下NRSと略す)を用いたペインスコアーで10とした場合, 薬物投与後の痛みの強さをペインスコアーで表現してもらうことを説明する. 薬物の投与法は1日1薬物とし, ベッド上安静臥位にて静脈路を確保後, プラセボ効果を判定するため, 各テスト薬物と同量の生理食塩水を5分間隔で2回投与し, つづいて1薬物を静脈内投与し, 投与後1分, 5分に痛みの強さを患者に尋ねる. NRSが, 0から2に減少を強陽性, 3から6を陽性, 7から9に留まったものを偽陽性, 10を陰性とする. フェントラミンは, αアドレナージック受容体拮抗薬であるため, 痛みに交感神経やカテコラミンが関与しているか否かを, チアミラールは, バルビツレートであり, 痛みに中枢性機序や心因性機序の関与しているか否かを, リドカインは, 痛みに損傷された神経線維やその神経細胞における異所性異常活動が関与しているか否かを, ケタミンはNMDA受容体が痛みの発生や維持に関与しているか否かを, モルヒネは侵害性疼痛か否かをそれぞれ推定することが可能である. 本講演では, 当科においてに実施してきた慢性疼痛患者の疼痛治療におけるドラッグチャレンジテストの位置づけ, 推定された疼痛機序にもとづいて実施した治療法の治療効果と, すべてのドラッグチャレンジテストに陰性を示した慢性疼痛患者の特徴を紹介し, 薬理学的アプローチの現状について述べたい. |
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ISSN: | 1340-4903 |