体位により感受性域値が大きく変化する硬膜外脊髄刺激治療の1例

難治性下肢痛に対し, 硬膜外脊髄刺激療法を選択し, 疼痛のコントロールは良好となったものの, 体位により刺激に対する感受性の変化のため日常生活上の不便を訴える症例を経験した. 〔症例〕50歳, 女性. 腰部脊椎疾患のため1990年から1995年の間に5回の手術を受け, 左下肢痛のため当科へ紹介された. 左足関節外側から足背にかけての痛みを訴え, 同部に錯感覚を認めた. 仙骨硬膜外ブロック, 神経根ブロックの効果はいずれも短時間で, イミプラミン, メキシレチン, デキストロメトルファン, なども疼痛を改善しなかった. 低周波刺激を行っているときにのみ疼痛の改善が認められることから, 1999年...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2000, Vol.7 (3), p.193-193
Hauptverfasser: 樋口昭子, 長谷川和彦, 朝日丈尚, 吉田仁
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:難治性下肢痛に対し, 硬膜外脊髄刺激療法を選択し, 疼痛のコントロールは良好となったものの, 体位により刺激に対する感受性の変化のため日常生活上の不便を訴える症例を経験した. 〔症例〕50歳, 女性. 腰部脊椎疾患のため1990年から1995年の間に5回の手術を受け, 左下肢痛のため当科へ紹介された. 左足関節外側から足背にかけての痛みを訴え, 同部に錯感覚を認めた. 仙骨硬膜外ブロック, 神経根ブロックの効果はいずれも短時間で, イミプラミン, メキシレチン, デキストロメトルファン, なども疼痛を改善しなかった. 低周波刺激を行っているときにのみ疼痛の改善が認められることから, 1999年11月硬膜外脊髄刺激装置を挿入した. テスト期間では出力は, 臥位1V, 立位3V程度で鎮痛が得られていたが, 退院後日常生活では, 1Vから7Vと極めて大きな感受性の差が認められるようになった. 原因は硬膜外と脊髄の距離が体位により変化することにあると考えられるが, 本症例のように大きく変化する場合には, 刺激装置の刺激出力設定が0.1V刻みであるため, 体位変換時の出力設定変更は患者にとってかなりのストレスとなる. 患者のADLを改善するには, 装置の出力設定方法にさらに工夫が加えられる必要がある.
ISSN:1340-4903