星状神経節ブロック後に頚部縦隔血腫および血胸を合併した一例

【症例】37歳の男性. 出血傾向や抗凝固薬による治療を受けた既往はなかった. 頭部を殴られた後に頭頚部痛が続いたため, 市内の医院を受診し, 右SGBを施行された. 症状が不変のため, 5時間30分後に, 左SGBを施行された. SGBは, 25Gで25mmの注射針を用いて, 第6頚椎横突起基部に刺針し, 血液の逆流がないことを確かめ行われた. 帰宅後, 徐々に頚部が腫脹し, 左SGBの3時間後に呼吸困難が生じた. 4時間30分後に撮影したCTで後頚部と縦隔の腫脹を認め, 頚部縦隔血腫を疑った. 経口挿管を行い, 左頚部から血腫除去および止血術を行った. 術中所見では, 頚動脈鞘および椎前筋群...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2000, Vol.7 (3), p.155-155
Hauptverfasser: 山田圭輔, 早稲田祐子, 高橋麗子, 新田俊一, 浜谷和雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【症例】37歳の男性. 出血傾向や抗凝固薬による治療を受けた既往はなかった. 頭部を殴られた後に頭頚部痛が続いたため, 市内の医院を受診し, 右SGBを施行された. 症状が不変のため, 5時間30分後に, 左SGBを施行された. SGBは, 25Gで25mmの注射針を用いて, 第6頚椎横突起基部に刺針し, 血液の逆流がないことを確かめ行われた. 帰宅後, 徐々に頚部が腫脹し, 左SGBの3時間後に呼吸困難が生じた. 4時間30分後に撮影したCTで後頚部と縦隔の腫脹を認め, 頚部縦隔血腫を疑った. 経口挿管を行い, 左頚部から血腫除去および止血術を行った. 術中所見では, 頚動脈鞘および椎前筋群内に出血はなく, 明らかな出血部位は不明であった. 術後第3病日のCTで, 頸部の血腫は縮小していたが, 両側に血胸(右優位)を認め, 両下葉の無気肺があった. 右胸腔にカテーテルを挿入し, 約600mlの血液を吸引した. 術後第3病日に気管チューブを抜管し, 以後, 順調に経過し術後第14病日に退院した. 【考察】頚部の血腫による気道閉塞は, SGBにより遅発性に生じる重篤な合併症である. 本症例では, 細く短い穿刺針を用いたが, 血腫を来した. SGBに血胸を合併することは稀であるが, 穿刺時に胸膜を損傷することや, 多量の縦隔血腫が胸腔に滲出することで生じる可能性が考えられる. 【結論】SGB後の頚部縦隔血腫のため気道閉塞および血胸を合併したが, 救命できた症例を経験した.
ISSN:1340-4903