腰下肢痛の外科治療の最先端

腰椎変性疾患にともなう腰下肢痛の外科治療の成績は, 近年飛躍的に向上している. これは単に手術器械, 手術材料の進歩ばかりによるものではなく, 病態や臨床症状, 自然経過についての理解が深まったこと, 画像診断を含めた診断法や術前評価法の進歩に負うところが大きい. 本講演では, 演者が第一線の脊椎外科医として, 腰下肢痛の外科治療の成績向上に, 特に貢献育していると考える知見, 評価法, 治療法について述べる. さらに現在開発, 進歩しつつある治療法のうち, 有望と思われるものについてもふれる. 腰椎変性疾患のうち手術療法の適応となるのは, 馬尾・神経根の障害と考えられるなんらかの下肢症状を伴...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2000, Vol.7 (3), p.57-57
1. Verfasser: 久野木順一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:腰椎変性疾患にともなう腰下肢痛の外科治療の成績は, 近年飛躍的に向上している. これは単に手術器械, 手術材料の進歩ばかりによるものではなく, 病態や臨床症状, 自然経過についての理解が深まったこと, 画像診断を含めた診断法や術前評価法の進歩に負うところが大きい. 本講演では, 演者が第一線の脊椎外科医として, 腰下肢痛の外科治療の成績向上に, 特に貢献育していると考える知見, 評価法, 治療法について述べる. さらに現在開発, 進歩しつつある治療法のうち, 有望と思われるものについてもふれる. 腰椎変性疾患のうち手術療法の適応となるのは, 馬尾・神経根の障害と考えられるなんらかの下肢症状を伴ったものが, ほとんどである. それらは根性疼痛, 神経脱落徴候, 緊張徴候, 間欠跛行などである. これら馬尾・神経根の障害の原因として, もっとも重要なメカニズムは(1)馬尾・神経根の絞扼(狭窄症), (2)神経根圧排(ヘルニア), (3)動的要因(不安定性, すべり症)の3つであり, 治療法としては狭窄症に対しては除圧術, ヘルニアに対しては減圧術または切除術, すべり症に対しては固定術または制動術が一般におこなわれる. 各々の病態において, 治療成績向上に, 貢献していると考える知見, 評価法, 治療法. (1)狭窄症 間欠破行の分類 神経根圧排徴候と神経根絞扼徴候の分類 神経根ブロックによる責任神経根決定 各種除圧法の開発(開窓術, 形成術) 椎間孔狭窄の理解と術式の開発 (2)ヘルニア ヘルニアの自然吸収に関する知見 神経根圧排型ヘルニアと神経根絞扼型ヘルニアの分類 経皮的髄核切除術からレーザー椎間板切除術 顕微鏡下ヘルニア切除術から内視鏡下ヘルニア切除術 (3)すべり症 各種インスツルメンテーションの開発, 進歩 椎間固定材料の進歩(カーボン, チタン, AWGC) 内視鏡下腰椎固定術 今後有望と思われる治療法 人工椎間板 変性椎間板に対する神経終末の焼却療法 変性椎間板に対する遺伝子治療
ISSN:1340-4903