痛みを持つがん患者ともっとも身近に接する看護婦の役割

がん患者の痛みは身体的痛み, 精神的痛み, 社会的痛み, スピリチュアルな痛みが加わった全人的痛みであるため, 痛みを適切に消失させるには全人的視点からの取り組みが必要である. 痛みの消失を目指して行われる看護ケアは, 身体面に加え日常生活行動や情緒面をも視野に入れたアセスメントから始まる. アセスメントに基づいて痛みへの適切な対応が開始されるが, とくに進行病期, 終末期に至った患者の強い痛みには, 痛みが消失するまでアセスメントが繰り返し行われなければならない. 看護婦は最も身近で, 最も長時間患者とともに過ごす唯一の医療職であるため, 痛みをアセスメントする最適な立場にいる. 患者の痛み...

Ausführliche Beschreibung

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1999, Vol.6 (3), p.181-181
1. Verfasser: 渡辺孝子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:がん患者の痛みは身体的痛み, 精神的痛み, 社会的痛み, スピリチュアルな痛みが加わった全人的痛みであるため, 痛みを適切に消失させるには全人的視点からの取り組みが必要である. 痛みの消失を目指して行われる看護ケアは, 身体面に加え日常生活行動や情緒面をも視野に入れたアセスメントから始まる. アセスメントに基づいて痛みへの適切な対応が開始されるが, とくに進行病期, 終末期に至った患者の強い痛みには, 痛みが消失するまでアセスメントが繰り返し行われなければならない. 看護婦は最も身近で, 最も長時間患者とともに過ごす唯一の医療職であるため, 痛みをアセスメントする最適な立場にいる. 患者の痛みを客観的に観察することに加え, 患者との良好なコミュニケーションから痛みが与える患者の不利益を多方面からとらえる. そこで得られた情報を医師と共有し, 効果的な痛み治療を実践するのが看護婦の役割である. 患者には患者自身にしか感じられない痛みという辛い体験を身近な看護婦に伝える重要な役割がある. アセスメントを繰り返しながら痛みの治療やケアが進められると, 患者は医療チームとの一体感を強め, 痛みの消失を目指す治療やケアに積極的に取り組めるようになる. 患者を中心においた医師・看護婦・その他の医療職によるチームワークが円滑にすすめられるよう調整することも看護婦のもう一つの重要な役割である.
ISSN:1340-4903