鎮痛物質発現ベクターの作成
われわれは, がん性疼痛治療を目的に, オピオイドペプチドなどの発現ベクターを患者に導入し, 患者自身の細胞に鎮痛物質を産生させる遺伝子治療を計画した. その第一段階として, 線維芽細胞や筋肉細胞などの培養細胞を遺伝子導入により, 鎮痛物質(今回はMet-エンケファリンとサケカルシトニン)産生細胞に変える研究を試みた. 一般に, Met-エンケファリンのようなペプチドは神経内分泌系の細胞で, 前駆体として産生され, 特殊なプロセシング酵素の働きにより翻訳後, 修飾を受けて生理活性型になる. したがって, 調節性分泌系を持たない非神経内分泌系の細胞に前駆体の遺伝子が導入されても, 多くが前駆体の...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 1999, Vol.6 (3), p.144-144 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | われわれは, がん性疼痛治療を目的に, オピオイドペプチドなどの発現ベクターを患者に導入し, 患者自身の細胞に鎮痛物質を産生させる遺伝子治療を計画した. その第一段階として, 線維芽細胞や筋肉細胞などの培養細胞を遺伝子導入により, 鎮痛物質(今回はMet-エンケファリンとサケカルシトニン)産生細胞に変える研究を試みた. 一般に, Met-エンケファリンのようなペプチドは神経内分泌系の細胞で, 前駆体として産生され, 特殊なプロセシング酵素の働きにより翻訳後, 修飾を受けて生理活性型になる. したがって, 調節性分泌系を持たない非神経内分泌系の細胞に前駆体の遺伝子が導入されても, 多くが前駆体のまま分泌されてしまう. そこで, 非神経内分泌系の細胞にも広く存在する蛋白分解酵素furinでプロセシングされるようなfusion peptideの発現ベクターを作成し, これにMet-エンケファリンまたはサケカルシトニンの遺伝子を組み込んだ. 電気穿孔法により, この発現ベクターを非神経内分泌系の培養細胞に導入したところ, 培養上清中に生理活性のあるペプチドの産生を認めた. |
---|---|
ISSN: | 1340-4903 |