一般病院勤務医としての在宅癌患者への対応
治癒不能な末期癌患者が, 「住み慣れた自宅で最期を迎えたい」という要望が高まっている. そのニーズを実現するためには癌末期に生ずるさまざまな身体的苦痛を緩和する必要がある. 一般病院勤務医として在宅医療に取り組みはじめた1989年から1997年までの9年間に, 当科で死亡した患者は318名で, そのうち79名に在宅医療を行い, 60名(全死亡患者の14.7%)が在宅死を迎えた. 在宅死60名のうち疼痛が問題となった患者は46名(76.7%)で, 疼痛治療実施率は病院死258名とほぼ同率であり, 在宅医療においても疼痛治療が不可欠であることが分かった. 疼痛治療法にも病院死と在宅死で大きな違いは...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 1998, Vol.5 (3), p.307-307 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 治癒不能な末期癌患者が, 「住み慣れた自宅で最期を迎えたい」という要望が高まっている. そのニーズを実現するためには癌末期に生ずるさまざまな身体的苦痛を緩和する必要がある. 一般病院勤務医として在宅医療に取り組みはじめた1989年から1997年までの9年間に, 当科で死亡した患者は318名で, そのうち79名に在宅医療を行い, 60名(全死亡患者の14.7%)が在宅死を迎えた. 在宅死60名のうち疼痛が問題となった患者は46名(76.7%)で, 疼痛治療実施率は病院死258名とほぼ同率であり, 在宅医療においても疼痛治療が不可欠であることが分かった. 疼痛治療法にも病院死と在宅死で大きな違いはなかった. 在宅で疼痛治療を行なった46名のうち30名(65.2%)にモルヒネ製剤の投与を行った. モルヒネの使用率は病院死患者に比べ若干低値だった. ほとんどの患者に対して病院内と同様の疼痛治療を自宅で行なうことは可能だが, 稀に時間単位で疼痛が増強したり, 鎮痛剤だけでは対応できない病的骨折などによる疼痛の発生も経験した. 入院よりも対応が遅くなる可能性のある在宅医療においても, 痛みの原因を診断することや疼痛治療の評価を繰り返すことが重要である. 末期癌在宅医療の要望に応えていくためには, 疼痛治療の経験や知識を持つ開業医との連携や, 訪問看護婦との協力体制を整備することが必要と考えられる. |
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ISSN: | 1340-4903 |