帯状疱疹痛ならびに帯状疱疹後神経痛にノルトリプチリンは有効か

帯状疱疹痛(HP)ならびに帯状疱疹後神経痛(PHN)に対しては, アミトリプチリンをはじめとする三環系抗うつ薬が広く用いられており, より早期からの投与を推奨する報告も成されている. 今回, われわれは, アミトリプチリンの脱メチル誘導体である塩酸ノルトリプチリン(NTP)をHP, PHN症例に投与し, その臨床効果につき検討した. 【対象と方法】帯状疱疹発症後6ヶ月未満のHP症例11例, 各種治療に抵抗性を示すPHN症例13例を対象として, NTP10mg(眠前)を1ヶ月間, その後30mg(分3)を1ヶ月間投与し, 投与前, 投与1ヶ月および2ヶ月後の各時点で, VASおよびCornell...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1998, Vol.5 (3), p.271-271
Hauptverfasser: 河田圭司, 森本昌宏, 坂口雅彦, 口分田理, 山住 勲, 村上晴也, 蔵 昌宏, 古賀義久
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:帯状疱疹痛(HP)ならびに帯状疱疹後神経痛(PHN)に対しては, アミトリプチリンをはじめとする三環系抗うつ薬が広く用いられており, より早期からの投与を推奨する報告も成されている. 今回, われわれは, アミトリプチリンの脱メチル誘導体である塩酸ノルトリプチリン(NTP)をHP, PHN症例に投与し, その臨床効果につき検討した. 【対象と方法】帯状疱疹発症後6ヶ月未満のHP症例11例, 各種治療に抵抗性を示すPHN症例13例を対象として, NTP10mg(眠前)を1ヶ月間, その後30mg(分3)を1ヶ月間投与し, 投与前, 投与1ヶ月および2ヶ月後の各時点で, VASおよびCornell medical index(CMI)による評価を行った. なお神経ブロック療法などは引き続いて施行した. 【結果】VASはHP症例で投与前64.1±7.6(mean±S.E.),投与後1ヶ月22.6±3.6, 2ヶ月後14.4±4.1, 同じくPHN症例では45.8±6.4, 33.2±6.6, 27.3±7.2と改善した. また, CMIの変化を24例すべてでみると, 身体的自覚症に関する30項目は4.9±0.9, 4.6±1.6, 3.6±0.9, 精神的自覚症に関する51項目は5.5±1.4, 4.8±1.6, 4.3±1.0と変化した. 【考察】三環系抗うつ薬の疼痛疾患に対する奏功機序としては, 二次的に生じたうつ状態の改善, モノアミン依存性の内因性編制御機構への作用, NMDA受容体での拮抗作用などが報告されている. NTPは, ノルエピネフリンの再吸収抑制作用を持つと考えられている薬物であり, 今回, PHN症例での効果はこの作用が主体であると考えられた. 一方, HP症例では, 自然寛解を否定できないものの, PHNへの移行防止効果を有するものと推察された. 【結語】NTPは, HP症例においてはPHNへの移行防止効果, PHN症例では除痛効果を示し, 鎮痛補助薬としての側面を持つものと考えられた.
ISSN:1340-4903