頸髄損傷患者の腹部内臓痛に硬膜外脊髄刺激が奏効した1症例

硬膜外脊髄刺激法で除痛効果を得るためには通電感覚が必要とされている. これに反し通電感覚なしに除痛できた頸髄損傷後の腹部内臓痛を経験したので報告する. 症例は, 51歳の男性. 18歳時に海水浴場で飛び込み, 第6頸髄損傷を負った. 21年間の機能訓練の後, 身障者用住宅に移り, 今まで介護を受けながら生活してきた. 4年前から現われた腹の中から絞る痛みが我慢できなくなったため当科に入院した. 脊髄刺激電極をT5~7の硬膜外腔に置いて通電したがじりじり感は生じなかった. しかし, 10分後には上半身が温かくなり, 痛みが軽減した. 鎮痛薬と鎮痛処置が減り熟睡できるようになった. また, 耳鳴や...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1997, Vol.4 (4), p.486-486
Hauptverfasser: 宇野武司, 小佐井和子, 小金丸美桂子, 高崎眞弓
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:硬膜外脊髄刺激法で除痛効果を得るためには通電感覚が必要とされている. これに反し通電感覚なしに除痛できた頸髄損傷後の腹部内臓痛を経験したので報告する. 症例は, 51歳の男性. 18歳時に海水浴場で飛び込み, 第6頸髄損傷を負った. 21年間の機能訓練の後, 身障者用住宅に移り, 今まで介護を受けながら生活してきた. 4年前から現われた腹の中から絞る痛みが我慢できなくなったため当科に入院した. 脊髄刺激電極をT5~7の硬膜外腔に置いて通電したがじりじり感は生じなかった. しかし, 10分後には上半身が温かくなり, 痛みが軽減した. 鎮痛薬と鎮痛処置が減り熟睡できるようになった. また, 耳鳴やいらいらがなくなり上肢運動や排便が容易になった. 在宅自己疼痛管理のためぺースメーカ型刺激装置を植込み, 腹筋が収縮して振動感を生じるまで刺激を強め, ここから刺激を少し弱めて通電している. 現在, 心身とも満足できる生活を送っている.
ISSN:1340-4903