猫末梢神経線維に対するグリセロールの作用

われわれは, 猫坐骨神経, 脛骨神経の血流を温存した末梢神経モデルを用いて, 神経破壊薬の局所麻酔薬様効果ならびに微小循環の変化についての報告を行なってきた. 今回は各種濃度のグリセロール溶液の微小循環に対する作用について報告する. 【対象および方法】対象は体重2.5kgから4.5kg(平均3.3kg)の猫17匹(雌13匹, 雄4匹)より29神経を用いた. 従来の方法で麻酔不動化およびプレパレーションを行った. パラフィン浴中で脛骨神経を持続刺激し, 坐骨神経より得られるCAPをオシロスコープで観察した. 矩形波による刺激(0.3msec., 1.5~3V, 1Hz)は, 神経刺激装置SEN-...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1997, Vol.4 (3), p.245-245
Hauptverfasser: 赤松信彦, 加藤進太, 岡崎 敦, 山口敬介, 宮崎正弘, 宮崎東洋, 釘宮豊城
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:われわれは, 猫坐骨神経, 脛骨神経の血流を温存した末梢神経モデルを用いて, 神経破壊薬の局所麻酔薬様効果ならびに微小循環の変化についての報告を行なってきた. 今回は各種濃度のグリセロール溶液の微小循環に対する作用について報告する. 【対象および方法】対象は体重2.5kgから4.5kg(平均3.3kg)の猫17匹(雌13匹, 雄4匹)より29神経を用いた. 従来の方法で麻酔不動化およびプレパレーションを行った. パラフィン浴中で脛骨神経を持続刺激し, 坐骨神経より得られるCAPをオシロスコープで観察した. 矩形波による刺激(0.3msec., 1.5~3V, 1Hz)は, 神経刺激装置SEN-7103(日本光電)を用いて行った. 切断端より3~4cm中枢側の脛骨神経鞘内に挿入したガラス毛細管を通し, 10%グリセロール(11神経), 20%グリセロール(9神経), 50%グリセロール(9神経)を0.1ml注入した. このガラス毛細管刺入部付近の神経線維表面の微小循環をビデオマクロスコープKH-2200(HIROX)を用い, 250倍の拡大で観察した. 【結果】グリセロール注入に伴い濃度依存性にCAPの抑制がみられ, 観察時間内の回復は認められなかった. しかし, 脛骨神経の微小循環は注入直後に一時的に障害されるが, 徐々に回復し, 全ての濃度群において微小循環障害は見られなかった. また, 回復までには2分から30分程度を要し, 50%グリセロールで血流が回復した後再び途絶し40分後に血流が回復した例もみられた. 【考察】グリセロールは生体に注入されるとエタノールと同様な機序で神経細胞の破壊を起こすと言われている. われわれは低濃度エタノール溶液では永久的ブロックに微小循環があまり関係していないと報告した. 本研究においてグリセロールはCAPを抑制しても, 一過性に微小循環を障害した. この微小循環の回復にはエタノールよりも長時間を要した.
ISSN:1340-4903