MMPI 78/87コードの経過について

慢性痛の発症や悪化には人格特性が深く関与していると言われている. 当科ではペインクリニック外来を訪れた, 慢性痛を中心とする症例で急性痛との鑑別のためにMMPIを施行している. MMPIを実施した症例のうち78/87コードを示した症例が最多であったため, その経過についてまとめたので報告する. 平成6年から平成8年の3年間に, 麻酔科外来を受診した症例のうちMMPIを施行した52例を対象とした. 78/87コードを示した症例の経過について調べた. 訴えの内容, 家庭的・社会的背景, 受診前の治療歴, 問題点の推移などについてまとめた. 52例のうち78/87コードを示した症例は11例(22%)...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1997, Vol.4 (3), p.238-238
Hauptverfasser: 竹内幹夫, 堀場 清, 野口 宏, 侘美好昭
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:慢性痛の発症や悪化には人格特性が深く関与していると言われている. 当科ではペインクリニック外来を訪れた, 慢性痛を中心とする症例で急性痛との鑑別のためにMMPIを施行している. MMPIを実施した症例のうち78/87コードを示した症例が最多であったため, その経過についてまとめたので報告する. 平成6年から平成8年の3年間に, 麻酔科外来を受診した症例のうちMMPIを施行した52例を対象とした. 78/87コードを示した症例の経過について調べた. 訴えの内容, 家庭的・社会的背景, 受診前の治療歴, 問題点の推移などについてまとめた. 52例のうち78/87コードを示した症例は11例(22%)と最多であった. 性別では女性が8名(77%)と多かった. 主訴は頭痛7, 背部痛2, 顔瞼痙攣1, 多汗1と頭痛が多数を占めた. 社会的, 家庭的問題が, 発症や症状の増悪と結びついている場合が多く, 問題の改善は, 症状の好転につながることが多かった. 社会的移動をのぞいては, 年余にわたり長期に通院する傾向がみられた. 受診前の診療科には, 特定の傾向は見られなかった. 治療上の問題点としては, 軽微な身体症状にこだわる点が特徴的であった. 当ペインクリニックは, 大学病院のペインクリニックのため病院遍歴により年余の治療歴を有するものも少なくない. MMPIの78/87コードはくつろぎにふさわしい防衛にかける特性として知られているが, これらの症例では, 家庭的, 社会的な解決困難な種々の問題を有することが多く, ねばり強い対応が必要であった. 今回あらためて症例を通覧することにより, (1)初回の問診に十分な時間をかけること (2)信頼関係の構築を通じて (3)患者の背後にある問題点を早期に掌握することの重要性を再認識させられた.
ISSN:1340-4903