星状神経節への局所麻酔薬投入, 低周波通電併用療法が奏効した一症例
バレリュー症侯群症例に対して, 星状神経節ブロック(SGB)後に針を留置したままで低周波通電を行う治療法を施行し, 良好な治療効果を得た. 【症例】症例は32歳, 男性. 主訴は後頸部~背部痛である. 現病歴は, 平成5年7月, 交通外傷により全身を強打し, A病院にて頸椎捻挫との診断を受けた. 10月頃から上記症状が出現し, 同6年1月頃には嘔気, 眩暈, 耳鳴などを伴うようになった. B病院麻酔科にて頸部硬膜外ブロック, SGBなどを受けたが, 症状は軽快しなかった. 同8年7月, 当科を受診となる. 初診時には, VAS70/100の痛みを訴え, 神経学的検査では右第6, 7頸神経領域に...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 1997, Vol.4 (3), p.218-218 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | バレリュー症侯群症例に対して, 星状神経節ブロック(SGB)後に針を留置したままで低周波通電を行う治療法を施行し, 良好な治療効果を得た. 【症例】症例は32歳, 男性. 主訴は後頸部~背部痛である. 現病歴は, 平成5年7月, 交通外傷により全身を強打し, A病院にて頸椎捻挫との診断を受けた. 10月頃から上記症状が出現し, 同6年1月頃には嘔気, 眩暈, 耳鳴などを伴うようになった. B病院麻酔科にて頸部硬膜外ブロック, SGBなどを受けたが, 症状は軽快しなかった. 同8年7月, 当科を受診となる. 初診時には, VAS70/100の痛みを訴え, 神経学的検査では右第6, 7頸神経領域に軽度の知覚低下を示したが, 頸椎X-P, MRIでは著変を認めなかった. バレリュー症侯群と診断し, 引き続き各種神経ブロックを施行したが, 数時間の軽快を得るのみであった. その後, SGB後に施行した星状神経節近傍への低周波置針が奏効したとの経験から, SGB後に針を留置したままで低周波通電を行ったところ, VASは30/100に軽快し, 眩暈, 耳鳴も消失した. なお, 本療法の施行にあたっては, 独自に試作した25G40mmの絶縁ブロック針を用いた. 現在も週1回の治療にて良好な状態を得ている. 【考察】Nagashimaらは, 椎骨動脈周囲神経叢を電気的に刺激することにより, バレリュー症侯群様の症状が誘発されることから, 本症侯群の発症には椎骨動脈周囲神経叢の異常興奮が関与するとしている. また, TENSでの低周波通電によりイオントフォレーシスが可能であるとする報告もある. 以上より, 今回の治療法の奏効機序としては, 局所麻酔薬がイオントフォレーシスにより椎骨動脈周囲神経叢へ浸潤し, 治療効果をもたらしたものと推察された. |
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ISSN: | 1340-4903 |