術後の食事摂取からみた鎮痛法の比較

術後鎮痛に対しては, さまざまな薬物がさまざまな投与経路で試みられている一方で, 呼吸抑制や嘔吐などの副作用の発生もある. 今回, 術後鎮痛に使用する薬物によって術後の食事摂取に違いがみられるかどうかを検討した. 【対象と方法】寛骨臼球状骨切り術を受けるASA1または2の女性患者24人を対象とした. 術前に自己血800~1600mlを用意した. 前投薬として手術室搬入2時間前にゾビクロン7.5mgを経口投与した. 麻酔は, 酸素, 笑気(70%), プロポフォール(10~6mg/kg)に0.5%ブピバカインによる硬膜外麻酔を併用した. 対象を3群に分け, 手術終了時に, A群:塩酸モルヒネ2m...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1997, Vol.4 (3), p.182-182
Hauptverfasser: 江川久子, 鈴木宣彰, 森信一郎, 高崎眞弓
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:術後鎮痛に対しては, さまざまな薬物がさまざまな投与経路で試みられている一方で, 呼吸抑制や嘔吐などの副作用の発生もある. 今回, 術後鎮痛に使用する薬物によって術後の食事摂取に違いがみられるかどうかを検討した. 【対象と方法】寛骨臼球状骨切り術を受けるASA1または2の女性患者24人を対象とした. 術前に自己血800~1600mlを用意した. 前投薬として手術室搬入2時間前にゾビクロン7.5mgを経口投与した. 麻酔は, 酸素, 笑気(70%), プロポフォール(10~6mg/kg)に0.5%ブピバカインによる硬膜外麻酔を併用した. 対象を3群に分け, 手術終了時に, A群:塩酸モルヒネ2mg+生食5mlを硬膜外投与(n=8), B群:ブプレノルフィン0.2mg+生食4mlを硬膜外投与(n=8), C群:フルルビプロフェンアキセチル50mgを静脈内投与(n=8)した. 鎮痛効果の指標として術後1, 3, 5時間と翌朝8時のvisual analog scale(VAS)を調べた. 鎮痛効果が不十分な場合は, 必要に応じてジクロフェナク坐剤を投与した. 術後1, 3, 5時間の呼吸数と術後24時間の副作用を記録した. 術後3日間の食事摂取量を記録し, 1日毎のカロリー摂取量を算出した. また術後1, 3, 7日に血液, 生化学検査を行った. 検定には, unpaired t-testおよびχ^2 検定を用いた. P<0.05を有意差ありとした. 【結果】VASとジクロフェナク坐剤の使用回数は, 3群間で有意差を認めなかった. 呼吸抑制のみられた患者はいなかった. 術後に嘔吐をきたした患者は, B群8人で, A群3人, C群2人よりも有意に多かった(P<0.01). 1日のカロリー摂取量は, 術後1日ではA, C群がB群より有意に多く(P<0.05), 2日ではA群がB群より有意に多かった(P<0.05). 術後1日の生化学検査でA群よりもB群で総蛋白が有意に低かった(P<0.05). 【結語】硬膜外モルヒネ投与は十分な鎮痛効果があり, 術後嘔吐の発生が少なく, 食事摂取も早期から可能であり, 下肢の整形外科手術の際の術後鎮痛に適していると考えられた.
ISSN:1340-4903