鍼治療により舌咽神経痛をコントロールできた1症例
長期にわたる舌咽神経痛に対して鍼治療と薬物療法をおこない, 緩解を得た症例を経験したので報告する. 《症例》74才男性. 既往歴, 家族歴に特記すべきことなし. 《現病歴》約20年前より耳介周囲の痛みが出現し, 某大学病院麻酔科にて舌咽神経痛と診断された. 近医よりカルママゼピンを処方されて有効であったが, 次第に効果持続時間が短くなり痛みが増強してきたため当院麻酔科を受診した. 《現症》右耳介周囲に, 間欠的に焼け火箸が入ってくるような痛みが5~10秒続く. 嚥下運動や会話時に増強する. 痛みのために夜間不眠傾向, 食欲減退あり. カルママゼピン1/2錠内服にて1時間程度痛みが軽減する. 《...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 1997, Vol.4 (3), p.169-169 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 長期にわたる舌咽神経痛に対して鍼治療と薬物療法をおこない, 緩解を得た症例を経験したので報告する. 《症例》74才男性. 既往歴, 家族歴に特記すべきことなし. 《現病歴》約20年前より耳介周囲の痛みが出現し, 某大学病院麻酔科にて舌咽神経痛と診断された. 近医よりカルママゼピンを処方されて有効であったが, 次第に効果持続時間が短くなり痛みが増強してきたため当院麻酔科を受診した. 《現症》右耳介周囲に, 間欠的に焼け火箸が入ってくるような痛みが5~10秒続く. 嚥下運動や会話時に増強する. 痛みのために夜間不眠傾向, 食欲減退あり. カルママゼピン1/2錠内服にて1時間程度痛みが軽減する. 《診断》咽頭部へのリドカインスプレー噴霧によりペインスコアー(以下PS)が10/10~5/10へ減少. 会話時の痛みがなくなったことから舌咽神経痛と診断. 《治療と経過》星状神経節ブロック週3回およびカルママゼピン2錠, スルピリド6カプセル/日, で治療開始しメコバラミンを追加した. 2週間後痛みの範囲は縮小したが強さと頻度は変化がなく, カルママゼピンを増量しジクロフェナクナトリウム坐薬を併用するも一時的な効果しかなかった. その後スルピリドをエチゾラムに変更し, ブロックの合計回数が10回をこえるあたりから痛みのない時間が増加し, 痛みの強さもPS5/10に減少した. しかしこの後年末年始の休院期間に入ってしまい, 初診より2ヶ月後には痛みの強度, 頻度とも増強してしまった. 舌咽神経ブロック, 神経減圧手術も考慮したが患者の不安もあり, 星状神経節ブロックのかわりに鍼治療を試みた. 刺入点は耳介前方の圧迫すると痛みが和らぐ点(耳門付近)と合谷にとった. 鍼治療5回目くらいから痛みの強度, 持続時間とも軽快し, 患者本人の治療に対する満足も得られたので, かかりつけの近医に鍼の場所などを申し送りして当科での治療を終了した. その後の経過は順調である. 《考察》舌咽神経痛の治療は神経ブロックと薬物療法でコントロールし, 不可能な場合は手術療法を考慮するのが一般的である. 当科ではより侵襲の少ない鍼治療で良好なコントロールができたので報告する. |
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ISSN: | 1340-4903 |