難治性陰部愁訴の2症例
様々な治療法が試みられたが効果が認められず, 東洋医学的治療により愁訴軽減が得られた陰部痛症例と陰茎勃起感を訴えた症例を経験したので報告する. 症例1:75才女性. H5年7月頃より特に誘因なく陰部痛が出現. 産婦人科, 泌尿器科, 精神科と受診するも治療効果なく, 除痛目的でH8年12月当科受診となった. 陰部に発赤腫脹等の異常は認められなかったが, 触刺激にて疼痛が誘発された. 仙骨硬膜外ブロックでは除痛を得られなかったが, 局所麻酔薬の塗布でやや効果が見られた. 患者は完全除痛を希望したため, 過去の経験と東洋医学的証により加味逍遙散を投与したところ, 肩凝りなどの不定愁訴が消失し, そ...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 1997, Vol.4 (3), p.167-167 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 様々な治療法が試みられたが効果が認められず, 東洋医学的治療により愁訴軽減が得られた陰部痛症例と陰茎勃起感を訴えた症例を経験したので報告する. 症例1:75才女性. H5年7月頃より特に誘因なく陰部痛が出現. 産婦人科, 泌尿器科, 精神科と受診するも治療効果なく, 除痛目的でH8年12月当科受診となった. 陰部に発赤腫脹等の異常は認められなかったが, 触刺激にて疼痛が誘発された. 仙骨硬膜外ブロックでは除痛を得られなかったが, 局所麻酔薬の塗布でやや効果が見られた. 患者は完全除痛を希望したため, 過去の経験と東洋医学的証により加味逍遙散を投与したところ, 肩凝りなどの不定愁訴が消失し, それに伴い陰部痛も軽減した. 症例2:70才男性. H6年10月頃より立位時の陰茎勃起感としびれを伴った両下肢痛が出現. H7年3月整形外科にて腰部脊柱管狭窄症の診断にて椎弓切除術及び後方固定術を施行した. 術後, 下肢症状は軽快したが立位時の陰茎勃起感は持続していた. 泌尿器科にて原因を精査したが不明とのことで, H8年11月当科受診となった. 患者は立位時に陰茎勃起感はあるが, 座位, 臥位ですぐに消失するとのことであった. 鬱血が原因と考え, 陰茎根部を絞扼して立位にしたが勃起感は発生した. しかし, 他覚的には勃起は確認されず, 仙骨硬膜外ブロック, 腰部硬膜外ブロック後にも症状に変化は認められなかった. この2年間実際には勃起を起きていないとの話から, 陰萎に有効とされる経穴に鍼治療を行ったところ効果が認められた. 更に同様の目的で, 八味地黄丸, 牛車腎気丸と投与したところ, 症状の軽快が得られ日常生活に支障のない程度に回復した. 考察:症例1での加味逍遙散は, 以前に同様の症状の患者での使用経験と, 今回の患者の証から判断し選択した. 症例2では患者の愁訴は陰茎勃起感であったが, 実際の症状はむしろ陰萎ではないかと考え, 鍼治療, 漢方薬投与を行った. 2症例とも愁訴が多岐にわたっており, 漢方薬の併用により症状軽減がもたらされたと考える. |
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ISSN: | 1340-4903 |