星状神経節ブロックの合併症と考えられた化膿性脊椎炎の1症例

症例:56歳女性 現病歴:1985年より視力の低下を自覚していたが放置. 徐々に症状の増悪を認め1990年網膜色素変性症と診断される. 薬物治療にても症状の改善を認めず, 1991年当科紹介となる. 以後, 週2回の星状神経節ブロック(両側)を施行し徐々に視力の低下を認めるものの進行度は遅くなりブロック後には約1日視力の改善がある状態で経過していた. 1996年10月26日の来院時, 上背部痛を訴えたが著明な圧痛や熱発を認めず星状神経節ブロックにて軽快していたが2週間経過しても症状が持続するため精査目的で整形外科受診しMRIにて第6, 7頚椎の化膿性脊椎炎と診断された. ブロックは中止し入院の...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1997, Vol.4 (3), p.142-142
Hauptverfasser: 前田成夫, 村川和重, 野間研一, 吉村由美, 松田真弥, 太城力良
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例:56歳女性 現病歴:1985年より視力の低下を自覚していたが放置. 徐々に症状の増悪を認め1990年網膜色素変性症と診断される. 薬物治療にても症状の改善を認めず, 1991年当科紹介となる. 以後, 週2回の星状神経節ブロック(両側)を施行し徐々に視力の低下を認めるものの進行度は遅くなりブロック後には約1日視力の改善がある状態で経過していた. 1996年10月26日の来院時, 上背部痛を訴えたが著明な圧痛や熱発を認めず星状神経節ブロックにて軽快していたが2週間経過しても症状が持続するため精査目的で整形外科受診しMRIにて第6, 7頚椎の化膿性脊椎炎と診断された. ブロックは中止し入院の上カラー固定および抗生剤の投与にて炎症反応および症状の消失をみとめ50日後に退院となった. 今回, 星状神経節ブロックが発症の誘因と考えられた第6, 7頚椎の化膿性脊椎炎を経験した. 症例は5年8ケ月にわたり週2回の星状神経節ブロックを受けており, 硬結等が感染の培地になったとも考えられる. 初発症状は上背部痛のみであり, 星状神経節ブロックにて症状が軽快したことで却って発見が遅れた. 我々の施設では今までこの様な症例は経験が無く, 今後非常に稀ではあるが重要な合併症として注意を要する必要がある.
ISSN:1340-4903