慢性疼痛に対するイミプラミンテスト

慢性疼痛は種々の機序により発生し維持されていくが, それらを鑑別することは容易ではない. ニューロパシックペインに対する疼痛機序判別試験は治療法の選択などに非常に有用であるが, 心因性疼痛などの中枢性機序の疼痛を鑑別することは未だに困難である. 抗うつ薬はセロトニン, ノルアドレナリン強化により疼痛緩和作用を発揮するが, 内服治療の効果発現には時間を要する. そのため, 他の治療法を併用した場合には疼痛機序が判明しない欠点がある. 経静脈的に投与されたイミプラミンの疼痛緩和効果の判定が, 疼痛機序解明および適切な内服治療の決定に役立つか否かを評価するために, 原因不明あるいは治療に反応しない難...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1997, Vol.4 (3), p.131-131
Hauptverfasser: 大塚浩司, 新井田周宏, 沼澤理絵, 橋本聡一, 劔物 修
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:慢性疼痛は種々の機序により発生し維持されていくが, それらを鑑別することは容易ではない. ニューロパシックペインに対する疼痛機序判別試験は治療法の選択などに非常に有用であるが, 心因性疼痛などの中枢性機序の疼痛を鑑別することは未だに困難である. 抗うつ薬はセロトニン, ノルアドレナリン強化により疼痛緩和作用を発揮するが, 内服治療の効果発現には時間を要する. そのため, 他の治療法を併用した場合には疼痛機序が判明しない欠点がある. 経静脈的に投与されたイミプラミンの疼痛緩和効果の判定が, 疼痛機序解明および適切な内服治療の決定に役立つか否かを評価するために, 原因不明あるいは治療に反応しない難治性の慢性疼痛患者18名を対象に, イミプラミンテストを行った. その結果, 9名においてテストに反応し, そのうち8名はイミプラミンあるいはアミトリプチリン内服治療が有効であった. テストに反応しない患者のうち試験的に抗うつ薬が経口投与された3名では, 全く治療効果が得られなかった. 61%の患者において, 温感, 口渇, 眠気, 頭部違和感などの何れかが認められたが, 程度は軽度であった. 難治性の慢性疼痛は精神疾患に関連した身体症状であることが少なくない. イミプラミン静注による疼痛の変化は予想した以上に速やかに判定可能であることから, 抗うつ薬に反応する気分障害や身体表現性障害などを鑑別する疼痛機序判別試験として, イミプラミンテストは有用であると考えられた.
ISSN:1340-4903