遷延する胸部痛の治療
International Association for the Study of Painは, 開胸手術後2か月以上続く疼痛を開胸後痛と定義しているが, 当科は, 術直後より創痛が著しく, NSAIDsなどでは疼痛管理の困難な患者が紹介されてくることが多い. もちろん, 定義どおり長期間持続する開胸後痛に悩まされて外来を訪れる患者もいる. 最近1年半の間に当科ペインクリニック外来を受診した「遷延する胸部痛」の患者は, おおむね以上の2つに大別された. 全症例に肋間神経傷害の既往があり, 創部には知覚鈍麻と痛覚過敏が混在し, 神経因性疼痛という基本的病態は同じであった. 両群は, 随伴する症...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 1997, Vol.4 (3), p.74-74 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | International Association for the Study of Painは, 開胸手術後2か月以上続く疼痛を開胸後痛と定義しているが, 当科は, 術直後より創痛が著しく, NSAIDsなどでは疼痛管理の困難な患者が紹介されてくることが多い. もちろん, 定義どおり長期間持続する開胸後痛に悩まされて外来を訪れる患者もいる. 最近1年半の間に当科ペインクリニック外来を受診した「遷延する胸部痛」の患者は, おおむね以上の2つに大別された. 全症例に肋間神経傷害の既往があり, 創部には知覚鈍麻と痛覚過敏が混在し, 神経因性疼痛という基本的病態は同じであった. 両群は, 随伴する症状や社会的な状況が異なるため, 治療方法が分かれた. 術直後より中等度以上の創痛が持続しているような前者の症例に対しては, 持続硬膜外注入を主体として治療した. 術後より持続している潜在性の炎症が病態を悪化させていると考えられたため, 低用量のNSAIDsを併用することが多かった. 疼痛が著しい場合は, 早期から低用量の三環系抗うつ薬を併用した. 食道手術後の患者のように内臓痛を伴う症例を除けば, このような患者は比較的単一の治療法で, 2~4週間で軽快することが多かった. 術後数か月以上経っても痛みが持続している後者の場合は, 患者の多くがすでに退院して社会復帰しているため, 通院治療がほとんどであった. 肋間神経ブロックや局注を主体に, 三環系抗うつ薬・抗痙攣薬・膜安定化作用のある抗不整脈薬・NSAIDsを組み合わせた内服による治療を行った. 症状が遷延化したために筋筋膜性疼痛を合併している場合がほとんどで, がいして難治であった. しかし, 筋筋膜性疼痛部位へのステロイドを併用した局注と, 創部へのカプサイシン含有クリーム塗布により, 短期間で改善する例がみられた. カプサイシン含有クリームは, 術後2か月以内でも, 症状が固定化しているような場合は試みてよい治療方法であろう. |
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ISSN: | 1340-4903 |