複合部分的疼痛症候群(1型)の早期の患者における交感神経ブロックとステロイドによる治療
反射性交感神経性異栄養症候群RSD(Reflex Sympathetic Dystrophy)はIASPの新分類では複合部分的疼痛症候群Complex regional pain syndrome(Type 1)(以下CRPS)とされている. われわれはこの症候群の早期にあり痛みと浮腫を伴った患者において星状神経節ブロックとステロイドが著効した症例を経験したので報告する. <症例>患者は60歳男性. 170cm, 97kg. 電気工事の仕事を20年間しており1995年3月に停年を迎えたが, 4月より農作業をしているうちに両上肢の痛みと指先の痺れ感を感じるようになった. 1995年6月整形外科を...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 1996, Vol.3 (4), p.457-457 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 反射性交感神経性異栄養症候群RSD(Reflex Sympathetic Dystrophy)はIASPの新分類では複合部分的疼痛症候群Complex regional pain syndrome(Type 1)(以下CRPS)とされている. われわれはこの症候群の早期にあり痛みと浮腫を伴った患者において星状神経節ブロックとステロイドが著効した症例を経験したので報告する. <症例>患者は60歳男性. 170cm, 97kg. 電気工事の仕事を20年間しており1995年3月に停年を迎えたが, 4月より農作業をしているうちに両上肢の痛みと指先の痺れ感を感じるようになった. 1995年6月整形外科を受診し, shoulder hand syndromeと診断され星状神経節ブロックを行なうため7月当科に転科となった. 転科時所見として両上肢の痛みと指尖のしびれ感のほかに両肩と両膝の痛みを訴え, 両手の浮腫は著明に認められた. また両手は掌握不能の状態であった. われわれはこの患者をCRPS(Type I)と診断した. 当科に入院後は午前に, 右側の星状神経節ブロック(1%メピバカイン6ml)を施行し, 左側にスーパーライザーを7分照射, 午後は左右を換えて治療を行なった. また, 肩甲部の圧痛点にトリガーポイント注射を行なった. さらに入院2週間目よりステロイドをプレドニゾロンで1日30mg経口で5日間投与し, 2週間で徐々に漸減させる治療を行なった. 患者の両指の浮腫は漸減し, 両上肢可動域は拡大し, 握力は入院時と比較して, 明らかに改善した. 入院時は, 両手にまったく力が入らなかったが, 転科後1ヵ月で握力は立位で右手18kg, 左手19kgであり, 痛みも左手環指にしびれ感を残すのみとなった. <考察>浮腫を伴うCRPS(Type I)異栄養期の早期には交感神経の反射的な緊張亢進がある. この時期の治療としては交感神経ブロックが有効である. またこの時期の炎症状態にはステロイド投与が著効を示すといわれているが本症例ではこの点も確認された. <まとめ>痛みと浮腫を伴ったCRPS(Type I)の患者に対し星状神経節ブロックとステロイド投与を施行した. その結果, 患者の両指の浮腫は漸減し, 両上肢可動域は拡大し, 握力は入院時と比較し, 明らかに改善した. 本症例のような患者に対しては神経ブロックに加えてステロイド投与が有用と思われた. |
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ISSN: | 1340-4903 |