神経血管減圧術により確定診断を得た迷走舌咽神経痛の一例
【はじめに】左後下小脳動脈が迷走神経および舌咽神経を圧迫していたために引き起こされた迷走舌咽神経痛の一症例について報告する. 【症例】69才, 女性. 1975年より嚥下時咽頭痛を自覚していた. 1983年嚥下時の左耳下部痛を主訴として当科を受診, 非定型顔面痛として星状神経節ブロックを施行し, 20日間で痛みは寛解した. その後1986, 92年に嚥下時咽頭痛を主訴として当科を受診, 舌咽神経痛を疑ったが, 患者の希望により星状神経節ブロックを施行し, 4-8週で痛みは寛解した. 1995年3月, 前回と同様の訴えで当科を受診, 側頸部法による舌咽神経ブロックで痛みは消失したが, 効果は一時...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 1996, Vol.3 (3), p.211-211 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】左後下小脳動脈が迷走神経および舌咽神経を圧迫していたために引き起こされた迷走舌咽神経痛の一症例について報告する. 【症例】69才, 女性. 1975年より嚥下時咽頭痛を自覚していた. 1983年嚥下時の左耳下部痛を主訴として当科を受診, 非定型顔面痛として星状神経節ブロックを施行し, 20日間で痛みは寛解した. その後1986, 92年に嚥下時咽頭痛を主訴として当科を受診, 舌咽神経痛を疑ったが, 患者の希望により星状神経節ブロックを施行し, 4-8週で痛みは寛解した. 1995年3月, 前回と同様の訴えで当科を受診, 側頸部法による舌咽神経ブロックで痛みは消失したが, 効果は一時的であり, 約20年の臨床経過から, 保存的治療には限界があると考え, 神経血管減圧術の適応として, 当院脳神経外科に紹介した. 入院後, 疼痛発作時の音声の変化が指摘され, 迷走神経の関与が示唆されたが, 循環器系の変動は見られなかった. 1995年6月, 全身麻酔下に神経血管減圧術を施行し, 左後下小脳動脈による舌咽神経および迷走神経の圧迫が確認された. 軽度の嚥下障害が術後1週間見られたが, その後は全く痛みもなく経過し, 現在まで再発はみられない. 【考察】咽喉頭部の知覚は舌咽神経と迷走神経が主体であるが, 複雑な神経叢を形成し, 交感神経幹とも交通している. 迷走舌咽神経痛では支配領域の疼痛に加えて, 徐脈や血圧低下, 音声の変化がみられる場合がある. 今回の症例では開頭術時の所見として舌咽, 迷走両神経に対する圧迫が確認されて確定診断を得た. 疼痛に対し星状神経節ブロックが有効であったが, その機序は不明である. |
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ISSN: | 1340-4903 |