思春期-成人型アトピー性皮膚炎に対して星状神経節ブロックの奏効した3症例

今回我々の経験した思春期-成人型アトピー性皮膚炎の3症例は, 皮膚科の治療に抵抗性で, いずれも著しい掻痒のため学業に支障をきたしていた. そこで本人の希望もあり, 星状神経節ブロック(SGB)を集中的に行った. 【症例1】16歳, 女性. 部位は, 顔面, 頚部, 四肢屈曲部である. アレルゲン検索では, ソバ, イネ科植物で(+)であった. 5歳頃からアトピー性皮膚炎と診断され, 外用ステロイド剤等を使用していた. 平成5年より顔面の発赤と腫脹が著明になり, 更に掻痒感がひどくなった. 平成6年7月, 近医にてSGBを開始し, 8月15日から25日まで当科に入院し, 左右交互に計9回のSG...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1996, Vol.3 (3), p.207-207
Hauptverfasser: 鈴木圭子, 山口重樹, 篠原昌之, 浜口眞輔, 滝口鉄郎, 緑川由紀夫, 奥田泰久, 北島敏光
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:今回我々の経験した思春期-成人型アトピー性皮膚炎の3症例は, 皮膚科の治療に抵抗性で, いずれも著しい掻痒のため学業に支障をきたしていた. そこで本人の希望もあり, 星状神経節ブロック(SGB)を集中的に行った. 【症例1】16歳, 女性. 部位は, 顔面, 頚部, 四肢屈曲部である. アレルゲン検索では, ソバ, イネ科植物で(+)であった. 5歳頃からアトピー性皮膚炎と診断され, 外用ステロイド剤等を使用していた. 平成5年より顔面の発赤と腫脹が著明になり, 更に掻痒感がひどくなった. 平成6年7月, 近医にてSGBを開始し, 8月15日から25日まで当科に入院し, 左右交互に計9回のSGBを試み, 掻痒感が軽減した. 退院後も週2回程度SGBを施行している. 【症例2】22歳男性. アレルギー素因は同胞(症例3)にアトピー性皮膚炎がいる. 10歳頃より, アトピー様皮疹が出現し, 徐々に増悪した. 近医にてステロイド外用薬を処方されるも軽快せず, 平成6年11月7日から12月10日まで当科に入院し, 左右計24回のSGBを施行した. 掻痒感, 睡眠随害は著明に改善し, 皮膚症状も徐々に軽快した. 【症例3】16歳, 女性. 同胞(症例2)にアトピー性皮膚炎がいる. 出生後半年でアトピー様皮疹が出現し, 緩解, 増悪を繰り返していた. 近医受診し外用薬の処方を受けるも軽快せず, 平成6年11月9日から18日まで, また平成7年3月24日から4月8日までの間当科に入院した. 1回目入院のとき計8回, 2回目入院では13回のSGBを施行し, 皮膚症状, 掻痒感は徐々に軽快した. 【考察】アトピー性皮膚炎は様々の原因が考えられている. I型アレルギー等の免疫機能異常によるとする説, ストレスによるとする説などがある. SGBが, 免疫機構を賦活し, さらに自律神経の失調を是正することで, アトピー性皮膚炎による症状が改善したのではないかと推論される.
ISSN:1340-4903