胸腔鏡下交感神経切除を行なった右手反射性交感神経性萎縮症の一例

多汗症における胸腔鏡下交感神経切除術の報告は多く行われているが, 上肢のRSD(reflex sympathetic dystrophy)に対する適応およびその経過を報告した物は少ない. 今回, われわれは右手背の微小骨折後に発症したRSDに対して, 胸部交感神経切除術を施行し, 約5ヵ月後に疼痛の再発を確認したので報告する. 【症例】30歳, 男性 作業中に右手橈側を強打し, 整形外科を受診した. 消炎鎮痛剤, 精神安定剤を処方されるが無効であり, 1ヵ月後に疼痛外来に紹介された. 初診時には右上腕の著明な浮腫および頚部にまでおよぶ知覚過敏(アロディニア)を呈しており, RSDと診断し頚部持...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1996, Vol.3 (3), p.181-181
Hauptverfasser: 加藤茂久, 角山正博, 中尾慎一, 大澤正巳, 乾 健二, 笠井馨美, 森健次郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:多汗症における胸腔鏡下交感神経切除術の報告は多く行われているが, 上肢のRSD(reflex sympathetic dystrophy)に対する適応およびその経過を報告した物は少ない. 今回, われわれは右手背の微小骨折後に発症したRSDに対して, 胸部交感神経切除術を施行し, 約5ヵ月後に疼痛の再発を確認したので報告する. 【症例】30歳, 男性 作業中に右手橈側を強打し, 整形外科を受診した. 消炎鎮痛剤, 精神安定剤を処方されるが無効であり, 1ヵ月後に疼痛外来に紹介された. 初診時には右上腕の著明な浮腫および頚部にまでおよぶ知覚過敏(アロディニア)を呈しており, RSDと診断し頚部持続硬膜外ブロックを行い, 2週間後には上腕の浮腫および疼痛の改善が認められた. 以後, 星状神経節ブロックを勧めたが, ブロックに対する恐怖心から同意を得られず, 星状神経節への直線偏光近赤外線照射および薬物投与のみで経過観察を行っていた. 次第に症状の悪化を認め, 星状神経節ブロック施行したところ, 疼痛の改善を認めたが効果は持続せず, 胸部交感神経ブロックの適応と考えられた. しかし, 患者のブロックに対する恐怖心は強く, 全身麻酔下の鏡視下交感神経切除術を選択し, 右胸部交感神経幹焼灼および切断を行った. 切断術後は右手および腋窩にしびれ感が残存していたが疼痛は消失した. しかし, 皮膚温は徐々に低下し, 術後5ヵ月頃より右手の発汗は認められないが術前同様の疼痛が再発した. 星状神経節ブロックを再開し, 皮膚温の著明な上昇と疼痛の緩和が確認され, 残存する交感神経の関与が示唆された.
ISSN:1340-4903