全身麻酔下でのペンタゾシン投与時期のおける血圧, 心拍数の変動について(執刀前後での投与の比較)

術中の鎮痛剤の投与時期に依存して, 術後の鎮痛の程度が異なることがいわれるが(Pre-emptive analgesia), 必ずしも意見の一致が見られていない. 我々も今までペンタゾシン(PENT)の執刀前投与と執刀後投与の術後鎮痛の程度について検討したが, 両群間の差は観察されなかった. このように術後疼痛の程度についてpre-emptive analgesiaの効果が発揮されなかったのは, 患者自身の過去の体験や情動などの精神機能によって修飾されたためとも考えられる. そこで, 過去に我々は, 全身麻酔下で侵害刺激を加えた時の血圧心拍数の変動を指標にして, PENT30mgの投与時期によ...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1996, Vol.3 (3), p.153-153
Hauptverfasser: 堀浩一朗, 長坂 浩, 亀田真弓, 田口理知, 菅井 実, 中村信一, 松本 勲, 堀 孝郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:術中の鎮痛剤の投与時期に依存して, 術後の鎮痛の程度が異なることがいわれるが(Pre-emptive analgesia), 必ずしも意見の一致が見られていない. 我々も今までペンタゾシン(PENT)の執刀前投与と執刀後投与の術後鎮痛の程度について検討したが, 両群間の差は観察されなかった. このように術後疼痛の程度についてpre-emptive analgesiaの効果が発揮されなかったのは, 患者自身の過去の体験や情動などの精神機能によって修飾されたためとも考えられる. そこで, 過去に我々は, 全身麻酔下で侵害刺激を加えた時の血圧心拍数の変動を指標にして, PENT30mgの投与時期によってこの変動が異なるかどうか検討してみたところ, 心拍数に関しては, 両群とも変動に差がないが, 血圧に関しては, 執刀後投与群が有意に高かった. 今回の検討は, PENT30mg投与群と60mg投与群とに分け, 投与量によりこの変動が異なるかどうか検討した. (方法)腹式単純子宮全摘を予定したASA1の症例を執刀前投与群と執刀後投与群の2群に無作為に分けた. 前投薬は, 入室30分前に硫酸アトロピン, ヒドロキシジンを筋注し, 導入は, チアミラールとサクシニルコリンにて行った. 吸入麻酔薬は, 60%笑気, 1.2%イソフルレンとした. PENT投与時期は, 執刀前投与群として執刀5分前, 執刀後投与群として執刀5分後とした血圧心拍数の測定は, 入室時, 執刀前, 執刀後1, 3, 5, 6, 8, 10, 15, 20, 25, 30分とした. (結果)PENT30mg投与群と60mg投与群とも両群間で患者背景に差がなかった. 執刀後投与群では, 執刀前投与群と比べて, 執刀とともに血圧の上昇, 心拍数の増加が観察されたが, PENT30mg, 60mg静脈内投与によって心拍数は執刀前投与群の値まで減少した. しかし, 血圧に関しては, PENT30mg, 60mg投与群とも執刀前投与群よりも有意に高かった. (結論)全身麻酔下でのPENT30mg, 60mg投与群とも, 侵害刺激を加えた時の血圧の変動をを指標にした場合, pre-emptive analgesiaの効果が観察されたが, 両投与群間で差がなかった.
ISSN:1340-4903