腕神経叢炎に対して神経ブロック療法が奏効した1症例

腕神経叢炎の診断にて, 他科より紹介のあった1症例に対し, 神経ブロックを中心とした治療を行い, 著効を得たので報告する. 【症例】30歳, 男性. およそ1年半前, 引っ越しの最中に荷物を持った際, 腕を引っ張られた. 2日後の朝から, 肩部に重苦感を自覚するも, 特に気にせず放置していた. 10日ほどしても軽快しないため, 近位受診し, 消炎鎮痛剤の投与を受けていた. 徐々に症状は悪化し, 左頸部から肩部, 胸部, 背部にかけ疼痛が出現し, 1年後には体動時痛, 安静時痛がかなり苦痛となった. その間約1ヵ月感整形外科入院し, 三角巾による安静を計ったが症状の経過は得られなかった. さらに...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1996, Vol.3 (3), p.147-147
Hauptverfasser: 野坂拓寿, 間宮敬子, 岩波悦勝, 櫻井行一, 小川秀道
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:腕神経叢炎の診断にて, 他科より紹介のあった1症例に対し, 神経ブロックを中心とした治療を行い, 著効を得たので報告する. 【症例】30歳, 男性. およそ1年半前, 引っ越しの最中に荷物を持った際, 腕を引っ張られた. 2日後の朝から, 肩部に重苦感を自覚するも, 特に気にせず放置していた. 10日ほどしても軽快しないため, 近位受診し, 消炎鎮痛剤の投与を受けていた. 徐々に症状は悪化し, 左頸部から肩部, 胸部, 背部にかけ疼痛が出現し, 1年後には体動時痛, 安静時痛がかなり苦痛となった. その間約1ヵ月感整形外科入院し, 三角巾による安静を計ったが症状の経過は得られなかった. さらに他院に入院し, ホットパック, 牽引, マッサージ等の理学療法および鍼灸治療を施行されたが, 効果はみられなかった. 発症より約1年3ヵ月後, 疼痛のため製図の仕事ができなくなり, 当院整形外科より左腕神経叢炎との診断で, 当科外来を紹介され受診となった. 【現症】左側頚部から左上肢特に肘部外側に焼け付くような痛みがあり, 胸部, 背部ともに引っ張られるような, 焼けるような痛みがあるとのことであった. 痛みのため, 左上肢は挙上が困難であった. 特に頚部の前屈によって, 左上肢痛の増強が誘発された. 消炎鎮痛剤ジクロフェナックナトリウム50mg坐剤の使用にて疼痛は2時間ほど軽快するのとことであった. 【治療経過】入院の上, 左星状神経節ブロック(以下SGB)を1%メヒバカイン5mlにて連日行い, 併せて鎖骨上部で圧痛の認められる部位に1%メヒバカイン5mlを局所投与した. 治療開始時には, 神経ブロックによる効果は痛みが半減する程度であり, 効果持続時間も3時間程度であったが, 1週間ほどするとブロック後は疼痛は消失し, 効果時間も6時間程度に延長した. 約80日間の入院治療により疼痛はほぼ消失し, 職場復帰となった. 以上, 若干の文献的考察を含め報告する.
ISSN:1340-4903