トリガーポイント注射施行時のステロイド薬配合の意義について
各種の疼痛, 特に筋筋膜性疼痛に対してトリガーポイント(以下, TG)注射を行う場合, 局所麻酔薬にステロイド薬を混和することにより, 効果の増強をみることが経験上知られている. しかし, このステロイド薬の配合意義につき詳細に検討したとする報告は少ない. 今回, われわれは, この点についての臨床検討を行ったので報告する. 【対象と方法】平成4年9月から同6年4月の間に, 腰痛を主訴として受診した患者56名(男性26名, 女性30名, 23~86歳)を対象とした. これら患者をネオビタカイン注5ml+生理食塩水0.5mlを使用する群(C群, 17名), 同じくネオビタカイン注5ml+ベタメタ...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 1996, Vol.3 (3), p.145-145 |
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Hauptverfasser: | , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 各種の疼痛, 特に筋筋膜性疼痛に対してトリガーポイント(以下, TG)注射を行う場合, 局所麻酔薬にステロイド薬を混和することにより, 効果の増強をみることが経験上知られている. しかし, このステロイド薬の配合意義につき詳細に検討したとする報告は少ない. 今回, われわれは, この点についての臨床検討を行ったので報告する. 【対象と方法】平成4年9月から同6年4月の間に, 腰痛を主訴として受診した患者56名(男性26名, 女性30名, 23~86歳)を対象とした. これら患者をネオビタカイン注5ml+生理食塩水0.5mlを使用する群(C群, 17名), 同じくネオビタカイン注5ml+ベタメタゾン1mg(リンデロン注0.25ml)+生理食塩水0.25mlを使用する群(A群, 19名), ネオビタカイン注5ml+ベタメタゾン2mg(リンデロン注0.5ml)の群(B群, 20名)の3群に分け, それぞれの薬液を腰部のTGへ2ケ所に分けて注入した. なお, 治療は1回/週とし, 4週間続けて行った. 但し, 治療が4回に満たずに治癒した場合には, その時点で終了とした. 効果の判定は患者自身の坪価により, 4段階(著効, 有効, やや有効, 無効)に分けて行った. また, 併せてVASによる辞価も行った. 統計学的検討は, Wilcoxonの順位和検定, χ^2 検定ならびにFisherの直接確率計算による検定によった. 【結果】自発痛に関しては, C群での有効以上の占める割合はは41.2%, A群では57.9%, B群は70.0%であり, C群に対してB群が有意であった. 同じく圧痛は, C群での有効以上は41.2%, A群では57.9%, B群は65.0%であり, C群に対してB群が有意であった. VASの変化をその減少率でみると, C群が21.7%, A群が52.4%, B群は54.2%であった. なお, いずれの群においても, 副作用は特に認められなかった. 【考察】TG注射は, 当科において最も頻用するペインクリニック的治療法である. 例えば, 腰痛に対する場合にも, 筋緊張性腰痛のみならず椎間板ヘルニア等により二次的に生じる腰部筋群の緊張に伴う痛みを緩和する効果がある. 今回の検討の結果からも, このTG注射施行にあたり, ステロイド薬を混和する意義は大きいものと考えられた. 以上につき, 文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1340-4903 |