上頚神経節遮断による下垂体FSH.LH.GH細胞への影響

近年, 無月経症や更年期のHot Flashなどに対して, SGBが有効であるという報告がなされている. 一方, SGBが成長に及ぼす影響に関しての結論も出ていない. そこで我々は頚部交感神経系の除去が脳下垂体のFSH, LH, GH細胞に及ぼす影響を, 免疫組織化学的に検討した. 「対象と方法」雌SDラットを用い, 思春期群と更年期群に分けた. 思春期群では4週齢時に両側の上頚神経節(SCG)切除を行い(1群7匹), 2週後に脳下垂体を採取した. 疑似手術群と無処置群を対照とした. 更年期群では卵巣摘除を行いSCG切除の効果を検討した. 即ち本実験群では, 4週齢で両側卵巣を摘除, 8週齢時...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1995, Vol.2 (2), p.321-321
Hauptverfasser: 談 勇, 赤間保之, 玉川 進, 久保田宗宏, 小川秀道
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, 無月経症や更年期のHot Flashなどに対して, SGBが有効であるという報告がなされている. 一方, SGBが成長に及ぼす影響に関しての結論も出ていない. そこで我々は頚部交感神経系の除去が脳下垂体のFSH, LH, GH細胞に及ぼす影響を, 免疫組織化学的に検討した. 「対象と方法」雌SDラットを用い, 思春期群と更年期群に分けた. 思春期群では4週齢時に両側の上頚神経節(SCG)切除を行い(1群7匹), 2週後に脳下垂体を採取した. 疑似手術群と無処置群を対照とした. 更年期群では卵巣摘除を行いSCG切除の効果を検討した. 即ち本実験群では, 4週齢で両側卵巣を摘除, 8週齢時にSCGを除去し, 2週後に脳下垂体を採取した. これを対照の去勢疑似手術群, 及び無処置群と比較した. 採取した脳下垂体は4%パラフォルムアルデヒドで固定し, クライオスタットで凍結切片標本を作製した. ABC法にて脳下垂体中のFSH, LH, GH細胞を染め出し, Nikon二次元画像解析装置にて切片あたりの細胞数と細胞の占める総面積および個々の細胞の大きさを計測した. 実験結果は平均値±SDで示した. 統計処理にはMann-WhitneyU-testとKruskal-Wallis H-testを用い, 危険率5%以下を有意差とした. 「結果」思春期群では, SCG除去後のFSH細胞の個数が対照群に比べて有意に増加したが, 総面積や細胞の大きさに関しては有意差が認められなかった. LH細胞は個数に変化がなかったが, 細胞が大きくなり, 細胞総面積が増加した. SCG除去群ではGH細胞の個数と細胞総面積が有意に減少したが, 細胞のサイズには変化が認められなかった. 更年期群では去勢により, FSH, LH細胞は肥大化し, 数も増加したが, GH細胞は減少した. しかし, SCGを除去すると, 去勢によるFSH, LH細胞の増大は抑えられた. GH細胞は更に減少し, 細胞の大きさも縮小していた. 「考察」以上の実験結果から, 思春期群では頚部の交感神経系の遮断が, 性腺刺激ホルモン分泌細胞を増加させる可能性が示唆された. これは, 無月経症に対するSGBの治療効果を裏付ける根拠となりうるかもしれない. 一方, 更年期群では, 交感神経節遮断によって性腺刺激ホルモン分泌細胞が減少したが, このことから, SGBによる更年期のHot Flashに対する有効性を説明できると思われる.
ISSN:1340-4903