somataization pain disorderの1例

今回我々は, 治療に難渋したsomataization pain disorderの1例を経験したので報告する. 症例:60歳, 女性 主訴:右側背部から右季肋部にかけての疼痛 既往歴:18歳虫垂炎にて手術, 19歳十二指腸潰瘍にて手術, 20歳外傷性血腫にて計3回手術, 23歳痔核にて手術, 24歳胆石にて手術, 28歳帝王切開にて出産, 25~40歳の間に3回イレウスにて手術, 43歳慢性膵炎にて手術 現病歴:平成5年7月2日右側背部から右季肋部にかけての疼痛を訴え近医を受診, 遊走腎と訟断され右腎摘出術を受ける. 症状軽快後, 一度は退院するも再び同年11月頃より右側背部, 創部に激しい...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1995, Vol.2 (2), p.294-294
Hauptverfasser: 小口敏孝, 山口重樹, 北島敏光, 緒方博丸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:今回我々は, 治療に難渋したsomataization pain disorderの1例を経験したので報告する. 症例:60歳, 女性 主訴:右側背部から右季肋部にかけての疼痛 既往歴:18歳虫垂炎にて手術, 19歳十二指腸潰瘍にて手術, 20歳外傷性血腫にて計3回手術, 23歳痔核にて手術, 24歳胆石にて手術, 28歳帝王切開にて出産, 25~40歳の間に3回イレウスにて手術, 43歳慢性膵炎にて手術 現病歴:平成5年7月2日右側背部から右季肋部にかけての疼痛を訴え近医を受診, 遊走腎と訟断され右腎摘出術を受ける. 症状軽快後, 一度は退院するも再び同年11月頃より右側背部, 創部に激しい疼痛が出現した. 近医にて平成6年11月までに計4回の持続胸部硬膜外ブロックが施行された. ブロック施行中は疼痛の軽滅が認められたが, ブロックを中止すると全く動けないほどの激しい疼痛に見舞われた. そのため, 平成6年9月疼痛コントロール目的に当科を紹介され, 直ちに入院となった. 入院時所見及び治療経過:激しい疼痛発作の時は失声となり, 意志の疎通も困難な状況であった. そのため, 持続胸部硬膜外ブロックを開始し, 疼痛コントールを図った. 疼痛は背側から右季肋部にかけて起こり, 常に一定した部位に認めたわけでなった. 疼痛発作の無い時は, 意思の疏通が十分にとれ, 家庭内の問題を訴えていた. 持続硬膜外ブロックで疼痛軽減を認めたが, 時おり原因不明の激しい疼痛に見舞われた. 疼痛の原因が交感神経由来のものか内臓由来のものかはっきりしないため, 診断と治療を兼ねて胸部交感神経ブロックと腹腔神経叢ブロックを行った. しかし, 両ブロック共に疼痛の軽減は一時的であった. また, 疼痛発作時に失声, 意識消失, 痙攣, またその後の健忘といった転換症状を認めた. そのため, 精神学的検索を行ったところDSM III Rのsomataization pain disorderであることが強く疑われた. 現在, 精神科と協力して治療を行っている. 考察:このようにsomataization pain disorderの事例では患者自身が心理的要因についての自覚がなく, 心理面からの接近が困難なことが多く, 診断および治療に難渋するものと思われた.
ISSN:1340-4903