くも膜下フェノール・ブロックの治療効果
癌性疼痛の管理において, 近年, モルヒネの徐放錠, 坐薬またはブプレノルフィン坐薬等が広く用いられるようになった. しかし, これら薬剤を長期間, または, 大量投与することによる副作用の発現頻度は極めて高い. よって, われわれは, パーマネントな除痛, および, これら薬剤の減量を目的として, 腹腔神経叢ブロック, 下腸間膜神経叢ブロック, または, くも膜下フェノール・ブロック(以下, PB)等を積極的に行っている. 今回, 当科においてこのPBを施行した癌性疼痛症例を対象として, 治療効果等につき検討した. (対象)平成2年1月より同6年12月までに, 当科においてPBを施行した癌性...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 1995, Vol.2 (2), p.237-237 |
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Hauptverfasser: | , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 癌性疼痛の管理において, 近年, モルヒネの徐放錠, 坐薬またはブプレノルフィン坐薬等が広く用いられるようになった. しかし, これら薬剤を長期間, または, 大量投与することによる副作用の発現頻度は極めて高い. よって, われわれは, パーマネントな除痛, および, これら薬剤の減量を目的として, 腹腔神経叢ブロック, 下腸間膜神経叢ブロック, または, くも膜下フェノール・ブロック(以下, PB)等を積極的に行っている. 今回, 当科においてこのPBを施行した癌性疼痛症例を対象として, 治療効果等につき検討した. (対象)平成2年1月より同6年12月までに, 当科においてPBを施行した癌性疼痛症例で, 転帰を確認し得た26例(男性20例, 女性6例)(36~75歳, 平均55.8±2.1歳)(mean±S.E.)を対象として, その背景因子, 治療効果につき検討した. (結果と考察)原発巣別では直腸9例, 肺8例, 肝2例, その他7例であり, うち8例が手術不能例, また, 当科初診時に25例で再発, 転移(骨転移が22例)が確認されていた. 疼痛を自覚後PB施行までの期間は12.3±1.9ヶ月であった. VASの変化は, PB施行前が7.7±0.3, 施行直後1.2±0.3, 1週間後では2.7±0.6(pain freeは4例)であった. また, 今回, 24例の死亡を確認したが, PB施行後死亡までの期間は4.2±0.6ヶ月であった. なお, 予めモルヒネないしはブプレノルフィンの投与を受けていた症例は18例であり, PB施行後これらを中止または減量し得たものは10例であった. PBにより直腸膀胱障害の出現をみたものは4例であった. 以上, 主として骨への多発転移が見られる場合には, 1回のPBで十分な除痛を得ることは不可能であると考えられるが, 繰り返してPBを施行するか否かについては議論のあるところである. これらの点につき文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1340-4903 |