RSDの経過と骨密度の変化

50歳男性, 身長172cm, 体重63kg 主訴:下腿痛1993年12月26日脚立より転落し, 左前頚骨部挫傷と踵部の打撲を負う. 受傷5日後より踵部を中心にじりじりした痛みが始まった. 近医にてNSAIDの処方と挫傷部の処置を受けていたが疼痛は徐々に強くなり, 1994年1月20日より足部の色調の変化に気づいた. 2月24日に当科を受診した. 麻酔科初診時にHyperpathia, Burning pain, Edema, Color change, Temperature change, Demineralizationを認め, 硬膜外ブロックにて皮膚温の上昇と疼痛の軽減が得られたので,...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1995, Vol.2 (2), p.228-228
Hauptverfasser: 岡崎 敦, 加藤進太, 三原 純, 宮崎東洋
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:50歳男性, 身長172cm, 体重63kg 主訴:下腿痛1993年12月26日脚立より転落し, 左前頚骨部挫傷と踵部の打撲を負う. 受傷5日後より踵部を中心にじりじりした痛みが始まった. 近医にてNSAIDの処方と挫傷部の処置を受けていたが疼痛は徐々に強くなり, 1994年1月20日より足部の色調の変化に気づいた. 2月24日に当科を受診した. 麻酔科初診時にHyperpathia, Burning pain, Edema, Color change, Temperature change, Demineralizationを認め, 硬膜外ブロックにて皮膚温の上昇と疼痛の軽減が得られたので, RSD score(J.J.Gibbon)7pointsのRSDと診断した. 3回/週の硬膜外ブロックと塩酸イミプラミン20mgの投与を始め, 積極的に歩行するように指導したが, ブロックによる鎮痛効果は一過性であり, 患肢は完全に免荷されたままであった. 3月3日レセルピンを用いた局所静脈内交感神経ブロックを行った. 以降, 皮膚温は健側と同程度となり, 疼痛の軽減が長期的に得られ, 可動域訓練, 歩行訓練を積極的に行なえるようになった. 3月10日には足関節可動域は改善してきたが, 訓練をすることで下肢に浮腫が生じてきた. この後7回の硬膜外ブロックと1回の局所静脈内交感神経ブロックで, 4月5日には疼痛はほぼ消失し, 片松葉歩行となった. 5月12日には杖なし歩行となり, 硬膜外ブロックを終了した. 6月中旬より塩酸イミプラミンを中止しても疼痛の再発はなく, 歩行もほぽ正常となった. 経過中に行った踵骨の骨密度測定(Hologic: QRD-2000)では, 受傷後65日(治療開始5日目)には0.669g/cm^2 (健側:0.672g/cm^2 )であったが, 片松葉歩行となった受傷後l09日では0.645g/cm^2 (健側:0.696g/cm^2 )とさらに減少し, ほぼ正常歩行となった受傷後165日でも0.617g/cm^2 (健側:0.684g/cm^2 )と減少し続けた. 骨密度に改善が認められたのは受傷後246日であり, 0.641g/cm^2 (健側:0.692g/cm^2 )であった. 当症例より下肢のRSDの骨密度の減少は, 疼痛の消失や血流の改善があっても, 免荷歩行をしている間は改善せず, 正常歩行になってやっと改善し始めると推察された.
ISSN:1340-4903