網膜中心動脈閉塞症に対する長期間の星状神経節ブロック療法
網膜中心動脈閉塞症(CRAO)は眼科的救急疾患の一つであり, 発症数時間以内に血流が再開しなければ網膜細胞は壊死に陥り不可逆的な視力障害をきたす. その予後は治療開始までの期間と治療開始時の視力により左右される. しかし臨床上では発症から治療開始までに半日以上経過した症例が多く, このような視機能の回復が困難と思われる症例に対しても, 我々は比較的長期に星状神経節ブロック(SGB)を施行してきた. 今回視機能が緩徐ではあるが回復している症例を経験したので報告する. 過去2年間で当科にてSGBを施行したCRAO8例のうち視野の改善が認められたのは6例で, そのうち視力の改善も認められたのは3例で...
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Veröffentlicht in: | 日本ペインクリニック学会誌 1995, Vol.2 (2), p.171-171 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 網膜中心動脈閉塞症(CRAO)は眼科的救急疾患の一つであり, 発症数時間以内に血流が再開しなければ網膜細胞は壊死に陥り不可逆的な視力障害をきたす. その予後は治療開始までの期間と治療開始時の視力により左右される. しかし臨床上では発症から治療開始までに半日以上経過した症例が多く, このような視機能の回復が困難と思われる症例に対しても, 我々は比較的長期に星状神経節ブロック(SGB)を施行してきた. 今回視機能が緩徐ではあるが回復している症例を経験したので報告する. 過去2年間で当科にてSGBを施行したCRAO8例のうち視野の改善が認められたのは6例で, そのうち視力の改善も認められたのは3例であった. 視野, 視力ともに改善し6ヵ月以上のSGBを施行した症例を提示する. 症例:50歳女性, 朝刊を読んでいると突然左眼が見えなくなり当院眼科を受診した. Vs=0.05(n.c.), 眼底所見及び蛍光眼底造影等から網膜中心動脈閉塞症と診断され, 血栓溶解剤等が投与された. 発症2日めよりSGBを開始し, その後9ヵ月間SGBを施行してVs=1.0(1.2)となった. また暗点の大きさも縮小した. 症例:59歳女性, 起床時に左眼が見えないことに気付き近医受診し血流が悪いと言われたが, 5日後に当院眼科を受診した. Vs=0.01(n.c.), 眼底所見及び蛍光眼底造影等から網膜中心動脈閉塞症と診断されて翌日より血栓溶解剤等が投与されたが, 7日後にはVs=s.l.となった. 発症9日めよりSGBを開始し, その後1年間SGBを施行してVs=0.05(n.c.)となり, 視野も若干広がった. このように視機能の回復が困難と思われる症例でも, 一定期間以上のSGB施行例で緩除ではあるが視機能が回復したので, 時間をかけて治療することも必要と思われる. |
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ISSN: | 1340-4903 |