極細径ファイバースコープによる硬膜外腔の観察とその応用

内視鏡による硬膜外腔の観察は1942年Poolの報告以来いくつかの報告がある. 今回我々は極細径ファイバースコープにより硬膜外腔を観察し, 興味ある知見を得た. またその応用としてファイバースコープをガイドとし, 硬膜外腔より神経根ブロックを試み良好な結果を得たので合わせて報告する. 症例1;47歳 女性 進行性全身性硬化症と診断され, 血管拡張療法, 硬膜外ブロック, 腰部交感神経ブロックを施行. 症状の再発に対し硬膜外ブロックの効果が低下してきたため, 硬膜外腔の観察を試みた. L3-4より硬膜外腔に到達し, 外径1.8mmファイバースコープ(メディカルサイエンス社製 MS-551)を使用...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1995, Vol.2 (2), p.153-153
Hauptverfasser: 阿部聖孝, 山口真人, 北村 晶, 大井良之, 坂本篤裕, 小川 龍
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:内視鏡による硬膜外腔の観察は1942年Poolの報告以来いくつかの報告がある. 今回我々は極細径ファイバースコープにより硬膜外腔を観察し, 興味ある知見を得た. またその応用としてファイバースコープをガイドとし, 硬膜外腔より神経根ブロックを試み良好な結果を得たので合わせて報告する. 症例1;47歳 女性 進行性全身性硬化症と診断され, 血管拡張療法, 硬膜外ブロック, 腰部交感神経ブロックを施行. 症状の再発に対し硬膜外ブロックの効果が低下してきたため, 硬膜外腔の観察を試みた. L3-4より硬膜外腔に到達し, 外径1.8mmファイバースコープ(メディカルサイエンス社製 MS-551)を使用し硬膜外腔を観察. 頻回の硬膜外ブロックによる炎症のためか, 硬膜外腔は出血と結合織の癒着が見られ, ある部位以上ファイバースコープが進まず, 先端部が折れ破損してしまった. 頻回の硬膜外ブロックなどで, 硬膜外腔の炎症が疑われる患者への硬膜外穿刺は注意を要する. 症例2;31歳 女性 子宮筋腫と診断され, 筋腫核出術を施行. 仙骨列孔より外径1.2mmファイバースコープ(メディカルサイエンス社製 MS-511)を, さらにL3-4より硬膜外カテーテルを挿入し, その様子を観察した. カテーテル先端が硬膜外腔を5cm進んだところで抵抗が生じ, ループを形成している状態が観察された. 注意深くカテーテルを調節したが, 同部位でのループは解除されなかった. 硬膜外カテーテル挿入時に抵抗を感じた場合, その部位より先にカテーテルを進めることは困難であると思われる. 症例3;67歳 男性 右腎摘出術後の創部痛に対し, Th12の神経根ブロックを試みた. Th12-L1間を穿刺し, Tuohy針の先端を患側へ向け, 予め5Frサイズのサクションチューブの中を通した外径1.1mmファイバースコープ(メディカルサイエンス社製 MS-551S)を挿入した. このファイバースコープは先端部が可変式となっており, それにより目的とする神経根付近に先端部を位置させることが可能であった. ファイバースコープを進める際の抵抗, 画像の変化, 患部への放散痛により先端部が適切な位置にあると判断し, ファイバースコープをガイドとしてサクションチューブを進め, 造影剤と局所麻酔薬を注入した. レントゲン撮影によりTh12の神経根が造影され, 局所麻酔薬により患部の疼痛は消失した. 硬膜外ファイバースコープは, 硬膜外腔からの神経根ブロックの際に, 有用な手段となりうると思われる.
ISSN:1340-4903