新規経口プロテアソーム阻害薬イキサゾミブによるがん治療関連心機能障害を発症したハイリスク多発性骨髄腫の1例
《Abstract》症例は60歳代後半, 男性. 2年前に急性腎障害, 高Ca血症を契機に多発性骨髄腫の診断となり, 当院血液内科よりドキソルビシン, ボルテゾミブをはじめとするがん薬物療法が開始された. その後, 自家末梢血幹細胞移植を行い寛解を得て, 1年前より経口プロテアソーム阻害薬であるイキサゾミブの内服で維持療法となった. 4カ月後の経胸壁心エコー図検査では左室駆出率(LVEF)は55%と保たれていたが, 内服開始から5カ月後より労作時息切れが出現し増悪したため, 12カ月後に当科を紹介受診した. LVEFは37%まで低下しており, LVEFが低下した心不全(HFrEF)の診断で精査...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2024-09, Vol.56 (9), p.909-914 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 《Abstract》症例は60歳代後半, 男性. 2年前に急性腎障害, 高Ca血症を契機に多発性骨髄腫の診断となり, 当院血液内科よりドキソルビシン, ボルテゾミブをはじめとするがん薬物療法が開始された. その後, 自家末梢血幹細胞移植を行い寛解を得て, 1年前より経口プロテアソーム阻害薬であるイキサゾミブの内服で維持療法となった. 4カ月後の経胸壁心エコー図検査では左室駆出率(LVEF)は55%と保たれていたが, 内服開始から5カ月後より労作時息切れが出現し増悪したため, 12カ月後に当科を紹介受診した. LVEFは37%まで低下しており, LVEFが低下した心不全(HFrEF)の診断で精査加療目的に入院とした. 冠動脈造影検査では有意狭窄を認めず, 臨床経過, 心臓MRI所見からイキサゾミブによるがん治療関連心機能障害と診断した. 薬剤の中止とHFrEFに対する標準治療薬を導入した4カ月後にはLVEFは50%まで改善を認めた. 現在プロテアソーム阻害薬は多発性骨髄腫のキードラックとなっており, 使用頻度は増加している. イキサゾミブでの心筋障害は稀とされているが, 本例のようなハイリスクの多発性骨髄腫患者には起こりうるため, その導入や経過観察に一層の注意が必要であり, 今回報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 |