肺静脈隔離術後に再発した発作性心房細動にエンパグリフロジンが有効であった1例

背景:SGLT2阻害薬は心房リモデリングを抑制しミトコンドリア機能を改善させることで心房細動の発症を抑制することが動物実験で示されている.過去の大規模試験ではSGLT2阻害薬が心房細動の新規発症を19%抑制すると報告されている.一方で肺静脈隔離術後に再発した心房細動に対するSGLT2阻害薬の有効性を示した研究はない.我々は肺静脈隔離術後に再発した発作性心房細動患者に対して糖尿病コントロールのために処方されたSGLT2阻害薬によって心房細動が抑制された症例を経験したため,ここに報告する. 症例:75歳男性,7年前より動悸症状を認めていた.動悸時の心電図は心房細動を示しており発作性心房細動と診断さ...

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Veröffentlicht in:心臓 2023/03/15, Vol.55(3), pp.261-265
Hauptverfasser: 渡部, 真吾, 太田, 栄一, 川勝, 紗樹, 河本, 梓帆, 山川, 祐馬, 雨宮, 未季, 増田, 怜, 村上, 輔, 山本, 康人, 吉川, 俊治, 鈴木, 篤, 薄井, 宙男
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景:SGLT2阻害薬は心房リモデリングを抑制しミトコンドリア機能を改善させることで心房細動の発症を抑制することが動物実験で示されている.過去の大規模試験ではSGLT2阻害薬が心房細動の新規発症を19%抑制すると報告されている.一方で肺静脈隔離術後に再発した心房細動に対するSGLT2阻害薬の有効性を示した研究はない.我々は肺静脈隔離術後に再発した発作性心房細動患者に対して糖尿病コントロールのために処方されたSGLT2阻害薬によって心房細動が抑制された症例を経験したため,ここに報告する. 症例:75歳男性,7年前より動悸症状を認めていた.動悸時の心電図は心房細動を示しており発作性心房細動と診断された.5年前に発作性心房細動に対して肺静脈隔離術が施行されたが,4年前より動悸症状を伴う発作性心房細動が再発した.ベプリジル100 mg/日の内服を行うも症状は月に2~3回程度みられていた.2年前より糖尿病に対してエンパグリフロジン10 mg/日の内服が開始された.以降,動悸症状は消失,エンパグリフロジン開始後2年間心房細動の再発は認めていない. 結語:肺静脈隔離術後に再発した抗不整脈薬抵抗性の発作性心房細動に対してSGLT2阻害薬が有効であった症例を経験した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.55.261