多彩な心室性不整脈を呈した心臓浸潤を伴う悪性リンパ腫の1例

症例は73歳,男性.10カ月前よりびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対し化学療法・放射線療法が施行され,3カ月前のCTで病変は縮小を維持していた.X-1日,動悸が出現したため近医を受診した.ホルター心電図で30分持続する単形性心室頻拍(ventricular tachycardia;VT)を指摘され,X日,当院へ救急搬送となった.当院搬入時,QT延長(QTc 477 ms)を認め,心室性期外収縮が頻回に出現した.その後は単形性VT,torsades de pointes(TdP)も繰り返し出現するようになった.12誘導心電図波形より,流出路から心尖部にかけて少なくとも4種類の起源を有する単形性V...

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Veröffentlicht in:心臓 2022/11/15, Vol.54(11), pp.1278-1284
Hauptverfasser: 西瀨戸, 美沙, 山元, 芙美, 荻野, 祐也, 辰元, 良麻, 中島, 啓太郎, 森, 唯史, 長家, 聡明, 冨桝, りか, 宮原, 正晴, 山口, 尊則
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は73歳,男性.10カ月前よりびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対し化学療法・放射線療法が施行され,3カ月前のCTで病変は縮小を維持していた.X-1日,動悸が出現したため近医を受診した.ホルター心電図で30分持続する単形性心室頻拍(ventricular tachycardia;VT)を指摘され,X日,当院へ救急搬送となった.当院搬入時,QT延長(QTc 477 ms)を認め,心室性期外収縮が頻回に出現した.その後は単形性VT,torsades de pointes(TdP)も繰り返し出現するようになった.12誘導心電図波形より,流出路から心尖部にかけて少なくとも4種類の起源を有する単形性VTを認めた.薬剤性QT延長を惹起する内服薬(フェソテロジンフマル酸塩,フルコナゾール)の中止,メキシレチン塩酸塩内服,ビソプロロールフマル酸塩の貼付剤,アミオダロン塩酸塩静注,リドカイン静注によりVTの頻度は減少した.心エコーで右室前壁から心尖部を占拠する充実性腫瘤を認め,血液検査の結果と併せて悪性リンパ腫の心臓浸潤と判断し,化学療法を開始した.化学療法の継続により,腫瘍の縮小とともに致死性不整脈は消失した.悪性リンパ腫の心臓浸潤は剖検例においては稀ではないが,臨床症状を呈することは少ない.リンパ腫罹患例が心室性不整脈を合併した際は心臓浸潤を鑑別として挙げ,リンパ腫の治療を早期に開始することが致死性不整脈の治療としても重要である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.54.1278