肝腎症候群急性期に冠攣縮によるST上昇型急性下壁心筋梗塞を合併し,集学的治療により救命し得た1例
43歳男性.非代償性アルコール性肝硬変のため他院で通院加療を行われていた.特発性細菌性腹膜炎を契機とした肝腎症候群による急性腎障害を発症し当院転院となった.著明なアシドーシスおよび腎不全を認め集中治療室に入室した.入院後,下壁誘導ST上昇および高度房室ブロックを生じショック状態に至った.気管挿管を行いアルブミン補充および昇圧薬を使用して呼吸循環を維持し,持続的血液濾過透析を施行しながら緊急冠動脈造影検査を施行した.右冠動脈中間部90%狭窄,左冠動脈前下行枝近位部90%狭窄,左冠動脈回旋枝中間部90%狭窄を認めたが,血管拡張薬冠注により狭窄は解除され冠攣縮に伴うST上昇型急性下壁心筋梗塞と診断し...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2022/10/15, Vol.54(10), pp.1164-1169 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 43歳男性.非代償性アルコール性肝硬変のため他院で通院加療を行われていた.特発性細菌性腹膜炎を契機とした肝腎症候群による急性腎障害を発症し当院転院となった.著明なアシドーシスおよび腎不全を認め集中治療室に入室した.入院後,下壁誘導ST上昇および高度房室ブロックを生じショック状態に至った.気管挿管を行いアルブミン補充および昇圧薬を使用して呼吸循環を維持し,持続的血液濾過透析を施行しながら緊急冠動脈造影検査を施行した.右冠動脈中間部90%狭窄,左冠動脈前下行枝近位部90%狭窄,左冠動脈回旋枝中間部90%狭窄を認めたが,血管拡張薬冠注により狭窄は解除され冠攣縮に伴うST上昇型急性下壁心筋梗塞と診断した.ニコランジル持続静脈投与を開始しST変化や房室ブロックの再発を認めなかった.血行動態安定し,全身状態も改善に向かった.肝腎症候群は末期肝硬変に続発する腎皮質血管の攣縮により生じるとされ,肝・腎以外の臓器にも血流障害が併存する可能性を示唆されている.今回我々は肝腎症候群に冠攣縮による急性心筋梗塞を発症し,集学的治療により救命し得た1例を経験したためここに報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.54.1164 |