B型急性大動脈解離亜急性期に合併した脊髄虚血による対麻痺ならびに重症下肢阻血に対して緊急胸部ステントグラフト内挿術が奏功した1例
症例は60歳男性.脊柱管狭窄症が既往にあり,持続する腰痛のため近医受診し磁気共鳴画像を撮像され大動脈解離が疑われたため当院に転院搬送となった.造影CTでは下行大動脈にエントリーを認める偽腔開存型B型急性大動脈解離であった.初診時には腹部4分枝は真腔より分岐しており下肢血流も保たれていた.降圧安静加療を行い,リハビリテーションを開始した.入院後第19病日より日内変動を伴い姿勢により変化する下肢のしびれ症状が出現した.血流障害は伴わず神経内科,整形外科と併診し脊柱管狭窄症に伴う症状を疑い,鎮痛薬を使用し経過観察とした.入院後第24病日に両下肢の大腿より末梢側の感覚障害,運動障害が出現し,身体所見上...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2022/03/15, Vol.54(3), pp.403-408 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は60歳男性.脊柱管狭窄症が既往にあり,持続する腰痛のため近医受診し磁気共鳴画像を撮像され大動脈解離が疑われたため当院に転院搬送となった.造影CTでは下行大動脈にエントリーを認める偽腔開存型B型急性大動脈解離であった.初診時には腹部4分枝は真腔より分岐しており下肢血流も保たれていた.降圧安静加療を行い,リハビリテーションを開始した.入院後第19病日より日内変動を伴い姿勢により変化する下肢のしびれ症状が出現した.血流障害は伴わず神経内科,整形外科と併診し脊柱管狭窄症に伴う症状を疑い,鎮痛薬を使用し経過観察とした.入院後第24病日に両下肢の大腿より末梢側の感覚障害,運動障害が出現し,身体所見上も両側大腿動脈の触知が不可であり血流障害も認めた.造影CTにて真腔の高度狭窄を認めたため,脊髄循環,下肢血流の循環改善のため,エントリー閉鎖目的に緊急の胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)を行った.TEVAR後は再灌流障害をきたすことはなく,両側足背動脈も良好に触知するようになり術後より両下肢の動きを認めた.その後リハビリを行いながら高気圧酸素療法(HBO)も施行し,術後9日目には起立訓練も開始できるまでに回復した.B型急性大動脈解離による肋間,腰動脈の血流障害により発症した対麻痺に対して,エントリー閉鎖ならびに真腔拡大目的で行ったTEVARが奏功した1例を経験したため報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.54.403 |