心臓再同期療法後のリード感染により感染性心内膜炎に至った拡張型心筋症に対して開心術による心臓再同期療法再植込み術を施行した1治験例
症例は83歳,男性.同期不全を伴うEF 30%台の拡張型心筋症に対して両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)を留置していたが,退院後4カ月頃から頻回に下痢便と食思不振が出現し,外来時の血液検査で炎症反応上昇と腎機能悪化を認めたため精査加療目的で緊急入院となった. 入院時心電図は心房トリガー型心室ペーシング,心拍数89回/分であった.心エコー上,左室は拡大し,びまん性に壁運動が低下しており中等度大動脈弁逆流,重度三尖弁逆流を認めた.入院時の血液培養よりグラム陽性球菌が検出され,経食道心エコーにて三尖弁右房側の右室リードに付着する疣贅を認め,感染性心内膜炎の診断となった.感染コント...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2022/02/15, Vol.54(2), pp.215-221 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 症例は83歳,男性.同期不全を伴うEF 30%台の拡張型心筋症に対して両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)を留置していたが,退院後4カ月頃から頻回に下痢便と食思不振が出現し,外来時の血液検査で炎症反応上昇と腎機能悪化を認めたため精査加療目的で緊急入院となった. 入院時心電図は心房トリガー型心室ペーシング,心拍数89回/分であった.心エコー上,左室は拡大し,びまん性に壁運動が低下しており中等度大動脈弁逆流,重度三尖弁逆流を認めた.入院時の血液培養よりグラム陽性球菌が検出され,経食道心エコーにて三尖弁右房側の右室リードに付着する疣贅を認め,感染性心内膜炎の診断となった.感染コントロールのため入院後にCRT-D全抜去術を施行したが,その後心不全コントロールが不可能となり,開心術にて三尖弁置換術+大動脈弁置換術+外科的に両心室ペースメーカ(CRT-P)再留置術を施行した.術後に駆出率の改善,自覚症状の改善を得た.経静脈的植込み後に発症したCRTデバイス感染に対してデバイス抜去後,開心術による心筋電極を用いた心臓再同期療法は,心不全症状改善のための治療選択肢となり得ると考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.54.215 |