Kounis症候群が疑われた超遅発性ステント血栓症の1例
症例は70歳,男性.10年前から複数回,他院で冠動脈三枝病変に対して経皮的冠動脈インターベンションを施行された.農作業後に皮疹が出現し,その後全身の掻痒感が強くなり近医皮膚科を受診した.待合室で気分不良を訴え,血圧低下,全身の紅斑を認めたためアナフィラキシーショックを疑われ当院へ搬送された.心電図にてaVR,aVL,V1-V5誘導でST上昇を認め,急性冠症候群が強く疑われたため緊急冠動脈造影検査を実施したところ,左前下行枝Seg 8末梢に完全閉塞を認めた.以前に左冠動脈主幹部から前下行枝にかけて留置されたCypher stent部に透亮像を認め,光干渉断層法(OCT)にて血栓像を認めた.血栓吸...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2022/01/15, Vol.54(1), pp.115-122 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は70歳,男性.10年前から複数回,他院で冠動脈三枝病変に対して経皮的冠動脈インターベンションを施行された.農作業後に皮疹が出現し,その後全身の掻痒感が強くなり近医皮膚科を受診した.待合室で気分不良を訴え,血圧低下,全身の紅斑を認めたためアナフィラキシーショックを疑われ当院へ搬送された.心電図にてaVR,aVL,V1-V5誘導でST上昇を認め,急性冠症候群が強く疑われたため緊急冠動脈造影検査を実施したところ,左前下行枝Seg 8末梢に完全閉塞を認めた.以前に左冠動脈主幹部から前下行枝にかけて留置されたCypher stent部に透亮像を認め,光干渉断層法(OCT)にて血栓像を認めた.血栓吸引後,大動脈バルーンパンピング(IABP)を留置し集中治療室へ入室した.その後は良好に経過し,早期にカテコラミン,IABPの離脱が可能であった.アレルゲンの同定には至らなかったが経過からはKounis症候群が強く疑われた.1カ月後に冠動脈造影検査,OCTを施行したところステント内の血栓は消失しており,Cypher stentのステントストラットの内膜被覆不良が認められた.本症例はアレルギー反応を契機に同部位に超遅発性ステント血栓症を生じ,急性冠症候群を発症したものと考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.54.115 |