肺血栓塞栓症術後に脳梗塞,脳出血をきたした卵巣腫瘍に合併したTrousseau症候群の1例
肺血栓塞栓症で発症し肺動脈塞栓除去術を施行したが,その後の抗血栓療法に抵抗し,脳梗塞,脳出血をきたした卵巣腫瘍によるTrousseau症候群の1例を経験したので報告する. 症例は45歳女性,1週間前より下肢浮腫が出現,放置していたところ呼吸困難,腹痛が出現したため近医救急搬送.腹部CTで径115 mmの不整形の嚢胞性卵巣腫瘍を認めた.翌日造影CTで肺血栓塞栓症,下肢深部静脈血栓症(腫瘍による骨盤内静脈の圧迫,閉塞は認めず),心エコー図検査で右房内血栓を認め,当院心臓外科へ転院となった.血液検査ではCA19-9 634.8 U/mL,CA125 3477.5 U/mLと異常高値であり,ムチン産生...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2021/09/15, Vol.53(9), pp.965-972 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 肺血栓塞栓症で発症し肺動脈塞栓除去術を施行したが,その後の抗血栓療法に抵抗し,脳梗塞,脳出血をきたした卵巣腫瘍によるTrousseau症候群の1例を経験したので報告する. 症例は45歳女性,1週間前より下肢浮腫が出現,放置していたところ呼吸困難,腹痛が出現したため近医救急搬送.腹部CTで径115 mmの不整形の嚢胞性卵巣腫瘍を認めた.翌日造影CTで肺血栓塞栓症,下肢深部静脈血栓症(腫瘍による骨盤内静脈の圧迫,閉塞は認めず),心エコー図検査で右房内血栓を認め,当院心臓外科へ転院となった.血液検査ではCA19-9 634.8 U/mL,CA125 3477.5 U/mLと異常高値であり,ムチン産生性の卵巣癌が強く疑われ,肺血栓塞栓症を合併したTrousseau症候群と診断した.心エコー図検査で右房右室内に浮遊血栓を認めたため,同日右房,右室および肺動脈内の塞栓除去術を緊急で施行した.術後から抗凝固療法に直接経口抗凝固薬(DOAC)の投与を開始したが,術後第12病日に右房内に血栓の再発を認め,転院後早期に予定されていた婦人科手術は延期となった.第13病日に婦人科,循環器内科を有する病院へ転院,婦人科手術待機中の術後第31病日に脳梗塞,第41病日に脳出血と次々と凝固障害に関連した合併症をきたし,術後43日目に脳出血により死亡した.術中卵円孔開存の有無の確認,術後の急性期の抗血栓療法の選択とモニタリング,下大静脈フィルターの適応等に検討の余地が残った.またTrousseau症候群の根本的治療は腫瘍の摘出であり,診断,救命処置,原疾患の治療まで一連の流れを可及的速やかに行うことが肝要と思われる. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.53.965 |