心臓サルコイドーシスと早期に診断し得た高度房室ブロックの1症例

62歳男性.X−1年12月頃より労作時の息切れを自覚した.X年4月,食後に一過性の失神を認め救急要請した.救急車内のモニター心電図で房室ブロックが疑われ,当院へ緊急搬送された.失神の原因は一過性の完全房室ブロックによるAdams-Stokes発作と判断し,恒久ペースメーカの植込みを行った.術前の経胸壁心臓超音波検査で左室駆出率47%と軽度左室収縮能低下と心室中隔菲薄化を伴う壁運動異常を認めた.原因精査のため18F-FDG PETを施行したところ,肺門部および縦隔リンパ節と左室心筋にFDG異常集積を認め,心臓サルコイドーシスと診断し,X年6月よりステロイド治療を施行した.その後の経過では心不全に...

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Veröffentlicht in:心臓 2020/08/15, Vol.52(8), pp.898-905
Hauptverfasser: 蛭間, 貴司, 加藤, 真帆人, 磯部, 光章
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:62歳男性.X−1年12月頃より労作時の息切れを自覚した.X年4月,食後に一過性の失神を認め救急要請した.救急車内のモニター心電図で房室ブロックが疑われ,当院へ緊急搬送された.失神の原因は一過性の完全房室ブロックによるAdams-Stokes発作と判断し,恒久ペースメーカの植込みを行った.術前の経胸壁心臓超音波検査で左室駆出率47%と軽度左室収縮能低下と心室中隔菲薄化を伴う壁運動異常を認めた.原因精査のため18F-FDG PETを施行したところ,肺門部および縦隔リンパ節と左室心筋にFDG異常集積を認め,心臓サルコイドーシスと診断し,X年6月よりステロイド治療を施行した.その後の経過では心不全による症状や徴候は出現せず,心電図上PQ時間の短縮とNT-pro BNPの低下を認めた.サルコイドーシスは比較的予後良好な疾患だが,心臓病変の合併は高度房室ブロック,心室性不整脈,左室収縮能の低下による心不全を引き起こし,予後を悪化させる.心臓サルコイドーシスは比較的頻度の高い心筋疾患であり,早期に診断し治療に結びつける臨床的プロセスが重要である.治療の中心はステロイド療法であり,特に左室駆出率が保たれた患者では,左室駆出率やPQ時間の改善が報告されている.本症例の確定診断に至るまでの臨床的プロセスとステロイド治療の意義について,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.52.898